「フリーランスのPTって、実際どうやってなるの?」
SNSで自由な働き方をアピールするフリーランスPTを見かけるたびに、そんな疑問が浮かんでいませんか。正直に言うと、僕も20代の頃は「給料安いけど、やりがいあるし…」って自分を納得させてました。でも結婚を考えたとき、それじゃダメだと気づいたんです。
フリーランスという選択肢は確かに魅力的。ただ、ネット上には「資格があれば誰でも独立できる」みたいな甘い情報が溢れていて、現実とのギャップに苦しむ人を何人も見てきました。僕自身も熊本で働いていた頃、独立を考えた時期があったからこそ言えることがあります。成功する人と失敗する人、その差は「なり方」を知っているかどうかにある。
「いきなりフリーランス」は危険?よくある3つの誤解
フリーランスPTを目指す人が陥りやすい誤解があります。これを知らないまま独立すると、かなり痛い目を見ることに。
誤解①:資格があれば独立してすぐ稼げる
ぶっちゃけ、PT資格だけで仕事が来ることはほぼありません。
病院や施設で働いていると、患者さんが自動的に来てくれますよね。でもフリーランスになった瞬間、その「仕組み」がゼロになる。元同僚が「資格さえあれば大丈夫」と甘く見て独立したんですが、最初の3ヶ月で収入は月10万円を切ってました。
営業力、人脈、専門性。この3つが揃っていないと、資格だけでは食べていけないのが現実です。
誤解②:SNSでフォロワーを増やせば仕事が来る
「インスタで1万人フォロワーになったら独立しよう」
こういう計画を立てている人、心当たりありませんか?確かにSNSは有効なツールですが、フォロワー数と収入は比例しません。僕が知っているフリーランスPTで、SNS経由の仕事だけで生計を立てている人は片手で数えるほど。
むしろ、SNSに時間を使いすぎて本業のスキルが疎かになるパターンの方が多い。発信は大事。でも、それだけに頼るのは危険すぎます。
誤解③:都市部でないとフリーランスは無理
これ、マジで大きな誤解です。
僕は熊本にいますが、地方だからこそフリーランスのチャンスがある場面を何度も見てきました。訪問看護ステーションの人手不足は地方の方が深刻で、業務委託でPTを探している事業所は結構多い。競合も少ないから、自分のポジションを確立しやすいんです。
都市部の方が案件は多いけど、その分ライバルも多い。地方は「数は少ないけど、取れれば安定する」という構造になっています。
フリーランスPTの主な働き方4パターン
フリーランスと一口に言っても、働き方は様々。自分に合うパターンを知っておくと、準備がしやすくなります。
訪問リハビリの業務委託
もっとも始めやすく、収入も安定しやすいのがこれ。
訪問看護ステーションと業務委託契約を結んで、1件あたり◯◯円という形で報酬を得ます。相場は1件4,000〜6,000円程度。1日5〜6件回れば、月収40〜50万円は十分狙えます。
- メリット:安定収入、営業不要、経験をそのまま活かせる
- デメリット:単価交渉しにくい、時間の自由度は限定的
地方でも需要が高い働き方なので、「まずはここから」という人が多いですね。
自費リハビリ・パーソナルトレーニング
保険外で直接クライアントと契約する形態。単価を自分で決められるのが強みです。
1時間8,000〜15,000円で提供している人が多い。ただし、集客は完全に自分次第。開業届の提出や、場所の確保も必要になります。
- メリット:高単価、やりがい、時間の自由度が高い
- デメリット:集客が難しい、固定費がかかる場合も
正直なところ、これだけで食べていくのは難易度が高い。訪問リハビリと組み合わせるのが現実的です。
セミナー講師・コンサル業
専門性を活かして教える側に回るパターン。
1回のセミナーで5〜10万円、コンサルは月額10万円以上という単価設定も可能。ただし、これができるのは業界で名前が知られている人や、特定分野で突出した実績がある人に限られます。
「いつかはセミナー講師に」と思うなら、まずは無料で登壇して実績を積むところから。いきなり有料は厳しいですね。
ライター・動画編集など周辺スキル活用
PT×別スキルで差別化する働き方。
医療系ライターとして記事を書いたり、リハビリ関連の動画編集をしたり。僕もこのメディアを運営しているように、発信スキルは収入の柱になりえます。
- ライター:1文字1〜3円、専門性が高いと1文字5円以上も
- 動画編集:1本5,000〜30,000円程度
リハビリの知識があるからこそ書ける・作れるコンテンツには価値があります。
現実的なフリーランスPTのなり方【5ステップ】
「いつか独立したい」と漠然と考えているなら、この5ステップで計画を立ててみてください。ポイントは「辞める前に基盤を作る」こと。
ステップ1:副業から始めて実績を作る
まず辞めるのではなく、今の職場にいながら副業で実績を作ります。
土日だけ自費でリハビリを提供してみる。ライターとして記事を書いてみる。小さく始めて「自分で稼ぐ経験」を積むのが最初のステップです。
元同僚は2年かけて副業で月10万円を安定させてから独立しました。焦って辞めた人と比べると、その後の安定感が全然違いましたね。
ステップ2:業務委託先を2〜3社確保する
1社だけに依存するのは危険。契約終了になった瞬間、収入がゼロになります。
訪問看護ステーションは複数あるので、2〜3社と契約しておくのがベター。「週2日はA社、週3日はB社」のように分散させると、リスクが下がります。
契約を取る方法は意外とシンプル。ホームページで「スタッフ募集」と出している事業所に直接連絡するだけ。「業務委託で働きたい」と伝えれば、話を聞いてくれるところは多いです。
ステップ3:開業届を出して個人事業主になる
フリーランスとして働くなら、開業届の提出は必須。
やり方は簡単です。税務署に行って「開業届」と「青色申告承認申請書」を出すだけ。書類は国税庁のサイトからダウンロードできるし、freeeなどのサービスを使えば5分で作成できます。
青色申告にすると最大65万円の控除が受けられるので、これは絶対にやっておくべき。白色のままだと損しますよ。
ステップ4:社会保険・税金の準備をする
ここを甘く見る人が多いんですが、フリーランスになると社会保険料の負担がかなり増えます。
会社員時代は健康保険と厚生年金の半分を会社が負担してくれていました。でもフリーランスになると全額自己負担。国民健康保険と国民年金の合計で、年収400万円だと年間約60万円前後の出費になることも。
事前に自治体のサイトで国保の計算をしておくことをおすすめします。独立後に「こんなに高いの?」と驚く人、本当に多いので。
ステップ5:徐々に本業の比率を下げる
副業収入が安定してきたら、徐々に本業の比率を下げていきます。
いきなり常勤を辞めるのではなく、まずは非常勤に切り替える。週5日から週3日へ。そして副業が本業を上回ったタイミングで完全独立。このやり方なら、リスクを最小限に抑えられます。
「石橋を叩いて渡る」くらいがちょうどいい。夢を追うのはいいけど、現実的な計算も忘れずに。
フリーランスPTが失敗するパターンと対策
独立して後悔する人には共通点があります。同じ轍を踏まないために、失敗パターンを知っておきましょう。
収入の柱が1つしかない
「訪問リハビリ1社とだけ契約」「自費クライアント1人に依存」
こういう状態で独立すると、その1つがなくなった瞬間に詰みます。知り合いのPTが1社の訪問看護ステーションとだけ契約していて、その事業所が閉鎖したとき収入が完全にゼロになりました。復活するまで3ヶ月かかったそうです。
対策は単純。収入源を最低3つ以上持つこと。訪問リハビリ2社+自費クライアント数名、くらいの分散が理想です。
営業活動をしない(待ちの姿勢)
「良いサービスを提供していれば、口コミで広がるはず」
…と思っていませんか?残念ながら、待っているだけでは仕事は来ません。
フリーランスになったら、自分から仕事を取りに行く姿勢が必須。新規の訪問看護ステーションに営業をかける、SNSで発信する、知り合いに声をかける。地道な活動を続けないと、ジリ貧になります。
「自由になりたい」だけで独立した人は、営業が嫌で結局常勤に戻るケースが多い。この現実は知っておいた方がいいです。
経費と時間の管理ができていない
フリーランスあるあるなんですが、自分の時給を計算できていない人が意外と多い。
例えば、1件5,000円の訪問リハビリ。移動に30分、施術に40分、書類作成に20分かかるとして、拘束時間は合計1時間半。時給換算すると約3,300円。「思ったより安いな」と感じませんか?
さらにガソリン代、車の維持費、確定申告にかかる時間。これらを含めると、実質の時給はもっと下がる。数字で把握していないと、「忙しいのに稼げない」という状態に陥ります。
地方でもフリーランスPTとして稼ぐには
「地方だからフリーランスは無理」という声をよく聞きますが、むしろ地方には地方の勝ち方があります。僕が熊本で見てきた実例を交えて紹介します。
訪問リハビリの需要は地方の方が高い地域も
都市部は訪問看護ステーションが乱立していますが、地方は慢性的な人手不足。
特に熊本の郊外や山間部では、「PTを業務委託で探している」という事業所が結構あります。常勤のPTを雇う余裕はないけど、週に何日か来てくれる人がいれば…というニーズ。
競合が少ないから、一度契約を取れば長く続く傾向にあります。都市部のように「より安い単価の人に切り替える」みたいなことも起きにくい。
オンライン相談・動画コンテンツで地域を超える
地方にいながら、県外のクライアントを持つ人も増えています。
オンラインでの動作指導、姿勢分析、セルフケア指導。Zoomさえあれば、東京のクライアントとも仕事ができる時代です。僕の知り合いは熊本在住ですが、クライアントの半分は関東在住。
動画コンテンツを作って販売するのも一つの手。運動指導のプログラムを1万円で販売して、月に10本売れれば10万円。地域に縛られない働き方は、地方こそ意識すべきです。
地元企業や介護施設との直接契約を狙う
地方では、地元のつながりが仕事につながりやすい。
介護施設に直接営業して「月2回、入居者さんへの体操指導」を契約する。地元企業と組んで「従業員向けの腰痛予防セミナー」を開催する。こういった案件は、都市部より地方の方が取りやすい印象があります。
地方は顔の見える関係が強い。だからこそ、一度信頼を得ると紹介で仕事が広がりやすいんです。
よくある質問
理学療法士がフリーランスになるには何年の経験が必要?
明確な基準はありませんが、5年以上の臨床経験があると業務委託先から信頼されやすいです。訪問リハビリの経験があれば3年目でも可能。整形外科や脳血管など、特定分野で専門性が高ければ経験年数が短くても契約が取れるケースはあります。ただし、経験が浅いと単価交渉で不利になりやすい点は覚悟しておいてください。
フリーランスPTの年収はどれくらい?
働き方次第で300万〜800万円以上と幅広いのが実情です。訪問リハビリの業務委託のみだと400〜500万円が一つの目安。自費リハビリやセミナー講師を組み合わせると600万円以上も狙えます。逆に、仕事が安定しないと300万円を切ることも。収入の上限がないのがフリーランスの魅力ですが、下限もないことは理解しておくべきです。
フリーランスになると社会保険料はどうなる?
国民健康保険と国民年金に切り替わります。会社員時代は健康保険と厚生年金の半分を会社が負担していましたが、フリーランスは全額自己負担。年収400万円だと年間約60万円前後の負担増になることもあります。国民健康保険料は自治体によって異なるので、独立前に必ず計算しておくことをおすすめします。
理学療法士がフリーランスで働くのに資格以外に必要なものは?
最低限必要なのは、開業届の提出、賠償責任保険への加入、請求書・契約書を作成するスキルです。賠償責任保険は年間1〜2万円程度で加入できるので必ず入ってください。訪問リハビリをやるなら車は必須。確定申告のための会計ソフト(freeeやマネーフォワード)も用意しておくと楽です。
まとめ
フリーランスPTへの道は、「いきなり独立」ではなく「準備しながら段階的に」が正解。副業で実績を作り、複数の収入源を確保してから、本業の比率を下げていく。この手順を踏めば、失敗のリスクはぐっと下がります。地方だからといって諦める必要はない。まずは今の環境でできる副業から、始めてみてください。
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この記事を書いた人
富永康太(元理学療法士)
臨床経験10年以上。現在はDOPグループ代表として、リハビリ職の転職・キャリア支援に携わる。「給料が安い」「転職が不安」——そんなPT・OT・STの悩みに、現場を知る人間として本音でお答えします。
