「理学療法士の副業=Webライター」という誤解を解く
「理学療法士 副業」で検索すると、必ず出てくるのがWebライター。正直、僕もこの流れに乗って何本か記事を書いたことがある。でも、最初に言っておきたい。Webライターで安定して稼げているPTは、体感で2割もいない。
Webライターで稼げるPTは全体の2割程度
同僚が副業でWebライターを始めたとき、最初の案件は文字単価0.5円だった。3,000文字書いて1,500円。リサーチや修正含めると5時間以上かかって、時給換算300円。「これなら訪問リハのスポット入った方がいい」と3ヶ月で辞めていった。
Webライターで月5万円以上稼ぐには、文字単価2円以上の案件を継続的に受注する必要がある。そこに到達するまでに半年〜1年。しかも医療系ライターは競合が多く、単価が上がりにくい。「PTの知識が活かせる」と思って始めても、求められるのは「SEOライティングのスキル」だったりする。
…とはいえ、文章を書くのが好きで、コツコツ続けられる人には向いている。ただ、「誰でも簡単に稼げる」という紹介のされ方には違和感がある。
副業の選び方は「本業との相乗効果」で決まる
副業を選ぶとき、僕が大事にしている基準がある。
- 本業のスキルがそのまま使えるか
- 本業に還元できる学びがあるか
- 疲労度と収入のバランスは取れているか
たとえば訪問リハビリのスポット勤務なら、臨床スキルがそのまま活きる。介護予防教室の講師をやれば、患者さんへの説明力が上がる。副業で得た経験が本業にプラスになれば、キャリア全体として見たときに効率がいい。
「副業で消耗して本業がおろそかになる」というのが最悪のパターン。心当たりありませんか?夜勤明けにフラフラでUber Eatsを漕いでいる同僚を見たことがあるけど、あれは持続可能じゃない。
本業のスキルを活かせる副業5選【月3〜10万円】
PT資格を直接活かせる副業は、時給が高い傾向にある。地方でも需要があるものを中心に紹介する。
訪問リハビリのスポット勤務(時給3,000円〜)
最も手堅い副業がこれ。時給3,000〜4,000円が相場で、週1回4時間入れば月5万円前後になる。熊本だと時給3,200円くらいが多いけど、東京・神奈川なら4,000円超えも珍しくない。
メリットは「PTとしてやることは同じ」という点。新しいスキルを習得する必要がなく、すぐに収入になる。デメリットは移動時間が発生すること。1件の訪問に1時間かかることもあるから、実質時給は少し下がる。
自費リハビリ・出張整体
保険外で自費施術を行う副業。1回60分で6,000〜10,000円が相場。固定客がつけば月10万円以上も狙える。
ただし、集客が最大のハードル。SNSでの発信やチラシ配りなど、営業活動が必要になる。「施術スキルには自信があるけど、お客さんが来ない」というパターンで挫折する人が多い。あと、開業届を出して個人事業主として活動する必要がある点も覚えておいてほしい。
介護予防教室の講師(地方でも需要あり)
地域包括支援センターや自治体が主催する介護予防教室の講師。1回2時間で5,000〜15,000円が相場。熊本では1回8,000円の案件を定期的に受けている知り合いがいる。
地方だとPTの絶対数が少ないから、意外と競合が少ない。市区町村の広報やシルバー人材センターの掲示板をチェックすると募集が見つかることがある。人前で話すのが苦手じゃなければ、かなりおすすめ。
施設のリハビリ相談員
デイサービスや老健で、リハビリプログラムの監修や相談対応を行う副業。月1〜2回の訪問で2〜5万円程度。
「常勤のPTを雇うほどじゃないけど、専門家のアドバイスが欲しい」という小規模施設からの需要がある。地方の施設ほどこの傾向が強い。知り合いの紹介で始まることが多いから、まずは人脈を広げることが大事。
福祉用具のアドバイザー業務
福祉用具販売店やレンタル事業者と提携して、用具選定のアドバイスを行う。1件あたり3,000〜5,000円程度。
専門的な知識が求められるから、回復期や訪問リハビリの経験がある人向け。福祉用具専門相談員の資格(講習を受ければ取得可能)があると案件が取りやすくなる。
PT資格と無関係だが稼ぎやすい副業4選
「せっかくPT資格があるんだから、活かさないともったいない」という考え方、僕は否定したい。資格に縛られず、単純に稼ぎやすい副業を選ぶのも立派な戦略。
Uber Eats・出前館(体力系PTに最適)
自転車やバイクで配達する副業。時給換算で1,500〜2,500円程度。稼働時間を自由に決められるのが最大のメリット。
後輩のPT(回復期勤務・27歳)がUber Eatsで月5万円稼いでいる。土日の昼と夜のピーク時間帯だけ稼働して、月20時間くらい。「頭を使わない時間が逆にリフレッシュになる」と言っていた。体力に自信があるPTなら検討の価値あり。
ただし、事故リスクと体力消耗は考慮してほしい。夜勤明けにやるのは本当におすすめしない。
せどり・物販(初期投資は必要)
安く仕入れて高く売る。シンプルなビジネスモデル。初期投資として10〜30万円程度は必要だけど、軌道に乗れば月10万円以上も狙える。
リハビリ関連の書籍や医療機器に詳しいPTは、その知識が意外と役立つ。「この教科書は絶版だから高値がつく」「この装具は中古でも需要がある」といった目利きができると強い。
動画編集(リハビリ系YouTuberからの依頼)
リハビリ系のYouTubeチャンネルが増えている。編集を外注したい発信者も多い。1本5,000〜20,000円が相場。
PT資格を活かすというより、「リハビリの専門用語がわかる編集者」として重宝される。ただし、編集スキルの習得に最低2〜3ヶ月はかかる。独学でやるならYouTubeの無料動画で学べる。
正直おすすめしない副業3選|時間対効果が悪すぎる
ネット記事で「おすすめ副業」として紹介されているけど、実際は稼げないものを正直に書く。
アンケートモニター・ポイントサイト
時給換算すると100〜300円程度。月に5,000円稼ぐのも大変。スキマ時間にできるのは魅力だけど、そのスキマ時間を休息に充てた方がいい。
「塵も積もれば山となる」と思って始めても、1ヶ月後には「全然積もらない」と気づく。PTの時給は高いんだから、時間の使い方をもっと考えた方がいい。
低単価のWebライティング
文字単価0.5円以下の案件。冒頭で書いた通り、時給換算で300〜500円。「実績を積むため」と言って始める人もいるけど、低単価実績は実績にならない。
最初から文字単価1円以上の案件を狙うか、そもそもWebライターを副業として選ばない方がいい。
資格取得からスタートする副業
「◯◯の資格を取れば副業で稼げる」という情報を見て、資格取得費用(10〜30万円)を払う人がいる。でも、資格を取っただけで仕事が来るわけがない。
資格取得費用を回収するのに1〜2年かかることも珍しくない。今持っているPT資格を活かす方が、はるかに効率がいい。
副業禁止の病院でPTが副業するときの現実的な対処法
「うちの病院、副業禁止なんです…」という相談をよく受ける。結論から言うと、就業規則の副業禁止には法的拘束力がないケースが多い。ただし、これは僕の見解であって、最終的には自己責任で判断してほしい。
就業規則の「副業禁止」は法的拘束力がない場合が多い
憲法で職業選択の自由が保障されている以上、本業に支障がない範囲での副業を全面禁止にするのは難しい。実際、2018年に厚生労働省が「モデル就業規則」から副業禁止規定を削除している。
ただし、「競業避止義務」に抵触する副業(同業他社での勤務など)や、本業に明らかに支障が出る副業は、懲戒処分の対象になりうる。このあたりは労働基準監督署や弁護士に相談した方が安心。
確定申告で住民税を「普通徴収」にする方法
副業がバレる最大の原因は住民税。会社が給与から天引きする「特別徴収」だと、住民税額の増加で副業収入がバレる可能性がある。
確定申告書の「住民税に関する事項」で「自分で納付(普通徴収)」を選択すれば、副業分の住民税は自宅に届く納付書で支払うことになる。これで会社に通知されるリスクを減らせる。ただし、自治体によっては対応が異なることもあるから、事前に確認しておいた方がいい。
バレるパターンは「自分で話してしまう」が9割
熊本で働いていた頃、県外から転職してきたPTが「都会より患者さんとの距離が近くてやりがいがある」と話していたのが印象的だった。その彼も副業をしていたけど、バレずに続けていた。理由は「誰にも言わなかったから」。
副業がバレるパターンで一番多いのは、自分から同僚に話してしまうこと。飲み会で気が大きくなって「実は副業で月5万稼いでて…」と言った瞬間、噂は広まる。信頼できる人にだけ話すか、誰にも言わないのが鉄則。
「副業より転職」が正解な人の3つの特徴
副業について書いてきたけど、正直に言う。副業で月5万円稼ぐより、転職で年収100万円上げる方が早いケースは多い。
年収400万円以下で昇給の見込みがない
年収400万円(手取りだと約300万円)以下で、昇給が年5,000円程度の職場。10年働いても年収450万円にしかならない。副業で月3万円稼いでも焼け石に水。
それなら、最初から年収450万円以上の職場に転職した方が生活は安定する。訪問リハビリや企業のリハ職は、年収500万円以上のポジションも珍しくない。
副業に充てる時間・体力が残っていない
残業が多い、休日出勤がある、夜勤がある…。こういう職場で副業をするのは、正直しんどい。睡眠時間を削って副業しても、健康を害したら元も子もない。
「副業する余裕がない」というのは、今の職場の働き方に問題がある可能性が高い。労働環境が良い職場に転職すれば、副業しなくても生活に余裕が出ることもある。
そもそも今の職場に不満がある
「給料が低いから副業で補填しよう」と考えている人の中には、給料以外にも不満を抱えている人がいる。人間関係、スキルアップの機会、通勤時間…。
副業は「今の職場に満足しているけど、収入をもう少し増やしたい」という人に向いている。根本的な不満があるなら、転職を検討した方がいい。
転職活動は、今すぐ辞めなくてもできる。まずは自分の市場価値を知るだけでも、視野が広がる。リハビリ職専門の転職サービスなら、PT/OT/STの転職事情に詳しいアドバイザーに相談できる。リハコンパスでは無料で相談できるし、登録は3分で完了する。「副業か転職か」で迷っているなら、プロの意見を聞いてみるのも一つの手。
よくある質問
理学療法士の副業は確定申告が必要ですか?
年間20万円を超える副収入がある場合は確定申告が必要です。ただし、20万円以下でも住民税の申告は必要になります。住民税の申告は市区町村の窓口で行えます。確定申告をすれば住民税の申告は不要なので、副収入が少額でも確定申告してしまう方が手間は少ないです。不安な場合は税務署の無料相談を利用してください。
理学療法士が副業で月10万円稼ぐのは現実的?
訪問リハビリのスポット勤務なら、週2回(月8回)で月10万円は十分に現実的です。時給3,500円×3時間×8回で84,000円。移動中の空き時間も考慮すると月10万円に届きます。ただし、本業と合わせると週6日以上働くことになるため、体力的な負担は大きい。長期間続けるなら、月5万円程度に抑えて本業とのバランスを取ることをおすすめします。
副業OKの病院はどうやって見つける?
求人票に「副業OK」と明記されていることは稀です。面接時に直接確認するか、転職エージェント経由で事前に確認してもらう方法があります。エージェントを使えば、「副業可能かどうか」を自分で聞く気まずさを避けられます。最近は副業を認める医療機関も増えているので、遠慮せずに確認してみてください。
理学療法士がブログで稼ぐのは難しい?
収益化まで最低1年はかかると考えてください。月5万円以上稼ぐなら2〜3年は続ける覚悟が必要です。即金性はありませんが、一度収益が出始めると「働かなくても収入が入る」状態になるのがブログの魅力。長期目線で資産を作りたい人には検討の価値があります。ただし、最初の半年は収入ゼロでも続けられるかどうかが分かれ道です。
まとめ
副業で大事なのは「稼げる副業」より「続けられる副業」を選ぶこと。本業との相乗効果があるか、時給換算で納得できるかを基準に判断してほしい。迷ったら、まずは訪問リハビリのスポット勤務から始めてみるのが手堅い。
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この記事を書いた人
富永康太(元理学療法士)
臨床経験10年以上。現在はDOPグループ代表として、リハビリ職の転職・キャリア支援に携わる。「給料が安い」「転職が不安」——そんなPT・OT・STの悩みに、現場を知る人間として本音でお答えします。
