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リハビリ職の管理職になるには?元PTが教える5つのステップと現実

2026 4/01
キャリアアップ
2026年4月1日
リハビリ職の管理職になるには?元PTが教える5つのステップと現実

「いつか管理職になりたい」と思いながら、具体的に何をすればいいかわからない。そんな状態で5年、10年と過ぎていく人を、僕は何人も見てきました。

かつて僕が働いていた熊本の中規模病院でも、「管理職になりたいです」と言っていた後輩が、気づけば8年目になっても平のまま。一方で、特に希望していなかった同僚が科長に抜擢されるケースもありました。この差は何なのか。元理学療法士として10年以上現場を見てきた僕が、その答えをお伝えします。

目次

「管理職になりたい」と思ったあなたへ。まず知っておくべき現実

管理職を目指す前に、リハビリ職特有のキャリア構造を理解しておかないと、思わぬ落とし穴にはまります。正直な話、「管理職=出世」とは限らないんですよね。

管理職=出世とは限らない。リハ職特有のキャリア構造

一般企業なら、平社員→係長→課長→部長と、わかりやすいキャリアラダーがあります。でも、リハビリ職はちょっと違う。

病院の場合、多くはこんな構造になっています。

  • スタッフ(一般職)
  • 主任・係長クラス
  • 科長・技師長
  • リハビリ部門長(大規模病院のみ)

ここで問題なのが、「ポストの数が圧倒的に少ない」ということ。20人のリハ科があっても、科長は1人、主任が2〜3人。残りの15人以上は、どれだけ経験を積んでも「スタッフ」のままです。

僕がいた病院でも、15年目のベテランPTが主任止まりで、30代前半の後輩が訪問リハ部門の管理者に抜擢されるなんてことがありました。年功序列じゃないんですよね、この業界。

さらに厄介なのが、病院と施設でキャリアパスが全然違うこと。老健や特養では「リハ科」という独立した部門がなく、ケア部門の一部として扱われることも。その場合、リハ職として管理職になるルートがそもそも存在しないこともあります。

年収は上がる?実際の給与差を数字で見てみる

「管理職になれば給料が上がる」と期待している人は多いでしょう。実際、どのくらい変わるのか。

僕の周りのデータや求人情報を総合すると、だいたいこんな感じです。

  • 主任クラス:年収400〜450万円(一般職より+30〜50万円)
  • 科長クラス:年収450〜550万円(一般職より+50〜100万円)
  • 部門長クラス:年収500〜650万円(大規模病院の場合)

…正直、思ったより差がないと感じませんか?

しかも、管理職になると残業代がつかなくなる「管理監督者」扱いになることも。実労働時間あたりで計算すると、スタッフ時代より時給が下がったという話も珍しくありません。

熊本の同僚が科長になったとき、「手当が月3万円ついたけど、会議と書類作業で残業が増えて、正直割に合わない」とぼやいていたのを覚えています。

とはいえ、管理職には給与以外のメリットもあります。決裁権を持てる、部門の方針を決められる、外部との交渉ができる。お金だけで測れない「やりがい」を感じる人も多いです。あなたが何を求めているのか、まずそこを整理してみてください。

リハビリ管理職になるための5つのステップ【経験年数別に解説】

「いつか管理職に」と思っているだけでは、いつまでも「いつか」のままです。経験年数ごとに、何をすべきか具体的に見ていきましょう。

1〜3年目:まず臨床力を固める時期

この時期に管理職を目指す行動をしても、正直あまり意味がありません。むしろ逆効果になることも。

1〜3年目でやるべきことはシンプルです。

  • 目の前の患者さんに全力で向き合う
  • 先輩の技術を貪欲に吸収する
  • 基本的な評価・治療の引き出しを増やす

なぜかというと、管理職になっても「臨床ができない人」は部下から信頼されないから。僕が見てきた中で、管理職として苦労している人の多くは、臨床力に不安を抱えたまま役職についたケースでした。

この時期はとにかく「この人は臨床ができる」という評価を固めることに集中してください。

4〜7年目:後輩指導と実績づくりのフェーズ

ここからが本番です。管理職候補として「見られる」ようになる行動を意識的に取っていく時期。

具体的には、こんなことを始めましょう。

後輩指導に積極的に関わる

新人が入ってきたら、自分から声をかける。困っていたら相談に乗る。これだけで「指導力がある」という評価につながります。

委員会活動に手を挙げる

感染対策委員会、医療安全委員会、教育委員会など、院内には様々な委員会があります。面倒だと思うかもしれませんが、ここでの働きは上層部の目に留まりやすい。僕の経験上、管理職になった人の8割以上は、何らかの委員会で主体的に動いていました。

学会発表や症例報告の実績をつくる

年1回でいいから、県士会の学会で発表する。これだけで「向上心がある」「部門の顔として外に出せる」という評価になります。

この時期に何もアクションを起こさないと、8年目以降に「あ、この人は現状維持でいいタイプなんだな」と判断されてしまいます。心当たりがある人、いませんか?

8年目以降:管理職候補として声がかかるタイミング

8〜10年目になると、科長や上層部から「ちょっと話があるんだけど」と声がかかるようになります。いや、正確には「かかる人と、かからない人」に分かれます。

声がかかる人の共通点を挙げてみます。

  • 後輩から相談される存在になっている
  • 委員会や係の仕事を責任を持ってやり遂げてきた
  • 科内の困りごとに自分から手を挙げてきた
  • 他部署(看護部、医事課など)と良好な関係を築いている

逆に、「仕事はできるけど、自分の患者さんしか見ていない」タイプは声がかかりにくい。管理職は「個人プレーヤー」ではなく「チームをまとめる人」だからです。

もしあなたが8年目以上で、まだ声がかかっていないなら。今の職場で管理職を目指すか、管理職ポジションで転職するか、選択を考える時期かもしれません。

管理職に必要なスキル・資格は?現場で本当に求められること

「何か資格を取れば管理職になれるのでは」と考える人がいますが、現実はそう単純ではありません。むしろ、資格よりも大事なものがあります。

資格よりも重視される3つのソフトスキル

採用面接や昇進の場で、実際に評価されるのはこの3つです。

1. コミュニケーション力

これは「話がうまい」という意味ではありません。相手の話を聞ける、言いにくいことを伝えられる、板挟みの状況で双方を納得させられる。そういう力です。

僕が訪問リハビリに転職したとき、最初の1ヶ月は道に迷いまくりでした。Google Mapが相棒でしたね(笑)。でも、それ以上に大変だったのが、ケアマネや家族との調整。病院では「リハビリの専門家」として話を聞いてもらえたけど、在宅では「チームの一員」として動かないと何も進まない。そこで初めて、調整力の重要性を痛感しました。

2. 調整力・根回し力

会議で突然反対意見を出されて焦った経験、ありませんか?管理職になると、事前の根回しができるかどうかで仕事のスムーズさが全然違います。

3. 忍耐力

正直、これが一番大事かもしれない。部下の愚痴を聞く、上からの無茶振りをかわす、理不尽なクレームに対応する。感情的にならずに淡々と処理できる人でないと、管理職は務まりません。

あると有利な資格・研修(認定理学療法士、マネジメント系研修など)

ソフトスキルが前提として、資格があると「プラスアルファ」の評価になります。

  • 認定理学療法士・専門理学療法士:専門性の証明として評価される。特に急性期や回復期病院では重視される傾向
  • 呼吸療法認定士・心臓リハビリテーション指導士:分野特化型だが、その領域では強いアピールになる
  • 回復期リハビリテーション病棟協会の研修:回復期で管理職を目指すなら必須に近い
  • マネジメント系研修:医療経営士、ヘルスケアMBAなど。大規模法人では評価されることも

ただし、「資格を取ったから管理職になれる」わけではありません。あくまでも「実績+資格」のセットで評価されると考えてください。

意外と見落とされる「数字を読む力」の重要性

管理職になると、避けて通れないのが「数字」の話です。

  • 診療報酬の算定要件
  • リハビリ単位数の管理
  • 人員配置と収益のバランス
  • 稼働率や在院日数の分析

これらを理解していないと、上層部との会話についていけません。2026年の診療報酬改定で、リハビリテーション関連の要件も大きく変わりました。「改定でどう変わったか」を説明できる人と、「よくわからない」という人。どちらが管理職候補として選ばれるかは明らかですよね。

今からでも遅くないので、診療報酬の基本的な仕組みは勉強しておくことをおすすめします。

【独自調査】地方と都市部で違う?管理職への道のりの差

キャリアの話をするとき、「地域差」を無視するわけにはいきません。僕は熊本で働いていたので、地方の事情はよくわかります。都市部とはかなり違う現実があるんです。

熊本での体感。地方は「人手不足=チャンス」になることも

地方の中小病院や施設では、慢性的な人手不足が続いています。これは大変なことですが、見方を変えれば「チャンス」でもある。

僕が知っている例では、32歳で訪問リハ事業所の管理者になった人がいます。都市部なら40代でもおかしくないポジションですが、地方では「やる気があって、責任感がある人」が見つかれば、年齢に関係なく抜擢されることがあるんです。

また、地方は人の入れ替わりが少ないので、一度ポジションを得ると長く続けられる傾向があります。逆に言えば、「上が詰まっている」職場では10年待っても順番が回ってこないことも。

自分の職場の年齢構成を見てみてください。科長が40代半ばで、50代のベテランがまだ数人いる。こんな状況なら、その職場で管理職になれる可能性は正直低いです。

都市部は競争が激しいが、転職でポジションを得る選択肢も

東京・大阪などの都市部では、リハビリ職の数が多く、院内での昇進競争が激しくなります。同期が5人いたら、管理職になれるのは1人か2人。残りは「万年スタッフ」コースです。

ただ、都市部には別のルートがあります。それが「管理職候補」や「管理者募集」での転職です。

最近の求人を見ていると、「管理職経験者歓迎」「主任候補として採用」といった募集が増えています。院内昇進を待つより、管理職として転職する方が早い場合もある。

まあ、管理職として入ると「即戦力」を期待されるプレッシャーはありますが。それでも、今の職場で5年待つより、転職で2年後に管理職になる方が現実的なケースは多いです。

正直、管理職に向いていない人もいる。別のキャリアという選択

ここまで管理職になる方法を書いてきましたが、全員が管理職を目指す必要はありません。むしろ、向いていないのに無理に目指すと不幸になることもあります。

臨床特化型のスペシャリストという道

「患者さんと向き合う時間が好き」「会議や書類作業は苦手」という人は、無理に管理職を目指さなくていい。

認定理学療法士・専門理学療法士として臨床を極める道があります。特定の疾患や領域で圧倒的な実力をつければ、組織内での発言力も高まります。

また、「臨床教育者」として後進の育成に特化するキャリアもあります。養成校の教員になる、実習指導者として活躍する、企業の研修講師になる。管理職とは違う形で組織に貢献できるんです。

開業・副業で収入を上げる方法もある

「管理職になりたい理由が収入アップ」なら、別のルートもあります。

訪問リハビリや自費サービスでの開業

訪問看護ステーションを開業する、自費の整体院を開く。リスクはありますが、成功すれば管理職の年収を大きく超えることも可能です。

副業で収入の柱を増やす

Webライター、オンライン講師、YouTuber。本業を続けながら別の収入源を作る人が増えています。僕自身も、今はメディア運営という形でリハビリ職のキャリア支援に関わっています。

管理職になることだけがキャリアの正解ではありません。自分が何を求めているのか、改めて考えてみてください。

まとめ:管理職を目指すなら「今日からできること」を一つ始めよう

管理職への道は、一朝一夕では開けません。でも、何もしなければ5年後も10年後も同じ場所にいるだけです。

今日からできることを一つ挙げるなら、「後輩の話を15分聞く」こと。困っていそうな後輩に声をかけて、話を聞いてみてください。それだけで、あなたの評価は少しずつ変わっていきます。

焦る必要はありません。ただ、立ち止まったままでいる必要もない。あなたのキャリアを動かすのは、あなた自身の行動だけです。

よくある質問

リハビリ職の管理職は何年目からなれますか?

一般的には8〜10年目以降で声がかかることが多いです。ただし、人手不足の地方や小規模施設では5年目前後で管理者に就任するケースもあります。重要なのは年数よりも、後輩指導や委員会活動などの実績です。院内での信頼を積み重ねていれば、比較的早いタイミングで声がかかることもあります。

管理職になるのに必要な資格はありますか?

法的に必須となる資格はありません。ただし、認定理学療法士や呼吸療法認定士などの専門資格があると、専門性の証明として評価されやすくなります。資格以上に重視されるのは、コミュニケーション力、調整力、数字を読む力といったソフトスキルです。資格は「あれば有利」程度に考えておくのが現実的です。

管理職になると年収はどのくらい上がりますか?

施設規模や地域により異なりますが、一般的に50〜100万円程度の上昇が見込めます。主任クラスで年収400〜450万円、科長クラスで450〜550万円が相場です。ただし、管理監督者扱いになると残業代がつかなくなる場合もあるため、実質的な手取りが期待ほど増えないケースもあります。

管理職になりたくない場合、どんなキャリアがありますか?

臨床特化のスペシャリストとして認定・専門理学療法士を目指す道があります。また、訪問リハビリテーションへの転職、自費サービスの開業、養成校教員、企業への転職など複数の選択肢があります。副業としてWebライターやオンライン講師を始める人も増えています。管理職だけがキャリアアップではありません。

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富永康太

この記事を書いた人

富永康太(元理学療法士)

臨床経験10年以上。現在はDOPグループ代表として、リハビリ職の転職・キャリア支援に携わる。「給料が安い」「転職が不安」——そんなPT・OT・STの悩みに、現場を知る人間として本音でお答えします。

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