「転職回数5回」と履歴書に書いた瞬間、採用担当者の表情が曇る。そんな経験をした同僚を、僕は何人も見てきました。
30代前半で転職5回。正直、最初は「さすがに多いよな」と思った。でも彼の話を聞いていくと、回数だけで判断されるのはもったいないと感じたんです。一方で、3回転職して年収100万円アップに成功した後輩もいる。この差は一体何なのか。
10年以上リハビリ業界にいて、転職相談を受けることも増えました。その中で気づいたのは、採用側が本当に気にしているのは「回数」じゃないということ。熊本の病院人事担当者から直接聞いた話も含めて、転職回数が多い人が内定を勝ち取るための具体的な方法をお伝えします。
転職5回の同僚が面接で落ち続けた理由
まずは僕の同僚、仮にAさんとしましょう。彼が経験した「転職回数の壁」は、想像以上に厚かった。
「また辞めるんじゃない?」と思われる瞬間
Aさんが面接で必ず聞かれたのが「なぜ5回も転職を?」という質問。最初は正直に答えていたそうです。
「1社目は給料が低くて」「2社目は人間関係が合わなくて」「3社目は残業が多すぎて」…
面接官の目が、だんだん冷たくなっていくのがわかったと言っていました。
ここだけの話ですが、採用側からすると「次もウチを同じ理由で辞めるんじゃないか」という不安が最大の懸念点なんです。転職理由がすべて「不満ベース」だと、この不安を払拭できない。
Aさんの場合、各職場での在籍期間も問題だった。
- 1社目:1年8ヶ月
- 2社目:11ヶ月
- 3社目:2年
- 4社目:8ヶ月
- 5社目:1年3ヶ月
特に2社目と4社目の1年未満退職が、採用側の警戒心を一気に高めてしまっていたんですね。
書類選考で落ちるパターンの共通点
Aさんは書類選考の段階で、7割以上落ちていました。履歴書を見せてもらったとき、すぐに原因がわかった。
職歴欄に「入社」「退社」だけが淡々と並んでいて、各職場で何を得たかが全く書かれていなかったんです。
採用担当者は1日に何十枚もの履歴書を見ます。転職回数が多い時点で「要注意」フラグが立つ中、職歴欄で挽回できなければ、そこで終わり。面接に進むことすらできません。
心当たり、ありませんか?
実際、Aさんは職務経歴書も「業務内容の羅列」になっていました。急性期病院での経験も、訪問リハビリでの経験も、単なる事実の列挙。「だから何?」という採用側の疑問に答えられていなかった。
でも3回転職して年収100万アップした後輩もいる
転職回数が多い=不利、とは限らない。これを証明してくれたのが、僕の後輩Bさんでした。
回数じゃなく「一貫性」で評価が変わった話
Bさんの転職歴はこうでした。
- 急性期病院(3年)→脳卒中患者の早期離床に特化
- 回復期リハビリ病院(4年)→脳卒中患者の在宅復帰支援
- 訪問リハビリ(現在3年目)→在宅での生活期リハビリ
見てわかるように、「脳卒中患者のリハビリ」という軸がブレていない。しかも急性期→回復期→生活期という流れが、患者の回復過程に沿っている。
Bさんは面接でこう説明したそうです。
「急性期で早期離床の重要性を学びましたが、退院後の生活までは見届けられませんでした。だから回復期に移り、在宅復帰のプロセスを経験しました。そして今は、その先の生活期まで関わりたいと考えて訪問リハビリを選びました」
これ、3回の転職が全部「ステップアップ」として聞こえますよね。
正直に言うと、僕も20代の頃は「給料安いけど、やりがいあるし…」って自分を納得させてました。でも結婚を考えたとき、それじゃダメだと気づいたんです。Bさんも同じで、キャリアを戦略的に積み上げることで、年収も380万から480万に上がった。
急性期→回復期→訪問の王道キャリア
Bさんのキャリアパスは、実は理学療法士の「王道」と呼ばれるルートの一つ。
急性期で基礎的な疾患管理やリスク管理を学び、回復期でADL訓練や多職種連携を経験、そして訪問で生活全体を見る視点を養う。このルートを歩んでいると、採用側も「計画的にキャリアを積んできた人」と評価してくれやすい。
逆に、こんなパターンは要注意。
- 整形クリニック→急性期病院→デイサービス→訪問→老健
転職理由に一貫性がないと、「何がしたいの?」と思われてしまう。ただ、これも説明次第で挽回は可能です。たとえば「様々な現場を経験することで、地域包括ケアの全体像を把握したかった」というストーリーに落とし込めれば、印象は変わる。
採用側が本音で気にしているのは「回数」じゃない
ここからは、あまり知られていない採用側のリアルな声をお伝えします。
熊本の病院人事に聞いた「見ているポイント」
僕の知人で、熊本県内の200床規模の病院で人事を担当している人がいます。彼に「ぶっちゃけ、転職回数って気にする?」と聞いてみました。
返ってきた答えが、意外だった。
「回数は正直、そこまで見てない。それより各職場に何年いたかと、辞めた理由をちゃんと説明できるかを見てる」
つまり採用側が知りたいのは、「この人はウチで長く働いてくれるか」という一点。転職回数が10回でも、各職場に5年ずついて、家庭の事情などやむを得ない理由があれば、全く問題ないそうです。
地方の中小病院は特にこの傾向が強いとのこと。人手不足が深刻だから、「来てくれるなら多少の経歴は気にしない」というのが本音らしい。
一方で、都市部の大病院や人気施設は違う。応募者が多いから、書類の段階でふるいにかける必要がある。その時に「転職回数」がフィルターとして使われやすい。
1年未満の退職が2回以上あると厳しい理由
同じ人事担当者が「これだけは厳しい」と言ったのが、1年未満の退職が複数回あるケース。
なぜか。
採用コストって、思った以上にかかるんです。求人広告費、面接の人件費、入職後の研修費用…。1年で辞められると、これらが全て無駄になる。だから「1年持たない人」という印象がつくと、採用リスクが高すぎて敬遠される。
具体的には、10年で5回転職していても、在籍期間が2年以上なら「まあ許容範囲」。でも5年で5回転職だと、平均1年。これはかなり厳しい評価になるそうです。
転職回数が多い人の「面接での伝え方」実例集
では具体的に、面接でどう伝えれば印象が変わるのか。実際に使えるフレーズを紹介します。
NG例:言い訳っぽくなる説明
まずはやってしまいがちなNG例から。
「給料が低くて転職しました」
→お金のことしか考えてない印象を与える
「人間関係が合わなくて…」
→協調性がない人だと思われる
「残業が多すぎたので」
→楽な仕事を求めてると思われる
「上司と意見が合わなくて」
→次もトラブルを起こしそうと思われる
これらは事実かもしれない。でも言い方を変えないと、ネガティブな印象だけが残ってしまいます。
OK例:成長ストーリーに変える言い回し
同じ内容を、こう言い換えてみてください。
「給料が低くて」→「より専門性を高められる環境を求めて」
→給料が上がるのは、専門性が評価された結果。原因と結果を逆にするだけで印象が変わる。
「人間関係が合わなくて」→「チーム医療をより深く実践できる環境を探して」
→前向きな動機に変換。ただし深掘りされたときの準備は必要。
「残業が多すぎた」→「質の高いリハビリを提供するため、患者さん一人ひとりに向き合える環境を求めて」
→残業が問題なのではなく、患者のためという軸を持ち出す。
質問されたときの切り返しフレーズ3選
面接で転職回数を突っ込まれたとき、使えるフレーズを3つ紹介します。
①「様々な経験を積む中で、自分の強みが明確になりました」
転職回数の多さを「経験の幅」として再定義するフレーズ。この後に「急性期では◯◯、回復期では◯◯という強みを発見しました」と具体的に続けられると説得力が増す。
②「正直、若い頃は軸が定まっていませんでした。でも今は違います」
過去を認めつつ、成長をアピールするパターン。特に30代以降は「今の自分」をどう見せるかが重要。過去の失敗を隠すより、そこから学んだ姿勢を見せる方が好印象。
③「御院で長く働きたいと考えています。その理由は…」
採用側の最大の不安「またすぐ辞めるんじゃ」を直接打ち消すフレーズ。この後に、その職場でなければダメな具体的な理由を述べる。施設の特色、教育体制、理念への共感など、下調べが必須。
転職回数を気にせず応募できる求人の探し方
最後に、転職回数が多くても通過しやすい求人の探し方をお伝えします。
エージェント経由だと書類通過率が上がる理由
転職回数が多い人こそ、エージェントを使うべき。理由は明確で、「あなたの代わりにフォローしてくれる」から。
自分で応募すると、履歴書と職務経歴書だけで判断される。転職回数が多いと、その時点で「要注意」となって落とされる可能性が高い。
でもエージェント経由だと、担当者が採用側に電話で「この方は転職回数は多いですが、◯◯という理由があって…」と説明してくれる。これが書類通過率を大きく上げる。
僕の周りでも、直接応募で5社落ちた人がエージェント経由で3社中2社通過した、という例を見てきました。
転職回数が気になる人には、PTOTSTワーカーがおすすめ。理学療法士専門のエージェントで、担当者がリハビリ業界に詳しいから、転職回数の説明も的確にフォローしてくれる。無料登録で相談できるし、登録は3分で完了。まずは自分の市場価値を確認するだけでも価値がある。
回数を気にしない職場の特徴3つ
エージェント以外にも、転職回数を気にしない職場には共通点があります。
①訪問リハビリステーション
訪問リハビリは慢性的な人手不足。特に小規模な事業所は「来てくれるなら」という姿勢のところが多い。一人で訪問できる即戦力を求めているから、経験の幅が広い人はむしろ歓迎される傾向。
②新規オープン施設
新しくオープンする病院やクリニック、介護施設は、スタッフを一斉に採用する必要がある。経験者なら転職回数はあまり気にせず、まずは人数を揃えることを優先するケースが多い。
③地方の中小病院
都市部に比べて応募者が少ない地方の病院は、採用基準が緩やかな傾向。特に100〜200床規模の病院は、転職回数より「すぐに戦力になれるか」を重視する。僕が住む熊本でも、この傾向は顕著。
よくある質問
理学療法士の転職は何回までなら許容される?
明確な基準はありませんが、一般的には3回までは許容範囲と言われています。ただし4回以上でも、各職場での経験に一貫性があれば問題にならないケースが多い。逆に2回でも、いずれも1年未満だと厳しい評価を受けることがあります。回数より「在籍期間」と「転職理由の説明力」が重要です。
転職回数が多いと給料は下がる?
必ずしも下がるわけではありません。むしろ経験の幅をアピールできれば、交渉次第で上がることも。ただし短期離職が多いと「またすぐ辞めそう」と判断され、条件面で不利になりやすい。年収アップを狙うなら、転職理由を「ステップアップ」として説明できる準備が必要です。
転職回数を履歴書で少なく見せる方法はある?
職歴詐称は絶対にNG。発覚すれば懲戒解雇になる可能性もあります。ただしパートや非常勤で短期間だった職場は、書き方を工夫することで印象を和らげられる場合も。職務経歴書で「何を得たか」を強調することで、回数より内容に目を向けさせる方が建設的です。
1年未満で辞めた経歴がある場合どう説明する?
隠さずに正直に理由を伝えることが基本。ただし「◯◯が嫌だった」というネガティブな理由だけでなく、「そこから何を学んだか」「次にどう活かすか」をセットで説明してください。「若気の至りでした。今は◯◯という軸が明確になっています」と成長をアピールするのも有効です。
転職エージェントは回数が多くても使える?
全く問題なく利用できます。むしろ転職回数が多い人ほど、エージェントを使うメリットは大きい。担当者が採用側に「この人を採用すべき理由」を代わりに説明してくれるから、書類通過率が上がります。PTOTSTワーカーなどリハビリ専門のエージェントなら、業界特有の事情も理解してくれるので安心です。
まとめ
転職回数の多さは、伝え方次第で「経験の幅」に変わる。5回転職した同僚も、最終的にはストーリーを整理し直して内定を勝ち取りました。まずは自分のキャリアを振り返り、一貫したストーリーを見つけるところから始めてみてください。
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この記事を書いた人
富永康太(元理学療法士)
臨床経験10年以上。現在はDOPグループ代表として、リハビリ職の転職・キャリア支援に携わる。「給料が安い」「転職が不安」——そんなPT・OT・STの悩みに、現場を知る人間として本音でお答えします。
