「1年目で辞めたい」と思っているあなたへ
まあ、結論から言うと、1年目で転職を考えること自体は全然おかしくないです。むしろ、僕の周りでもそういう人は少なくなかった。
入職3ヶ月で辞めたいと思った僕の話
正直に言うと、僕自身も入職3ヶ月くらいで「これ、本当にやっていけるのかな」って思った時期がありました。
急性期病院に新卒で入ったんですが、先輩の指導がとにかく厳しかった。カルテの書き方、患者さんへの声かけ、評価の手順…何をやっても「違う」と言われる日々。昼休みも取れず、毎日22時過ぎまでサービス残業。
で、ある日ふと思ったんです。「これ、3年続けられる気がしない」と。
あの頃は本当にしんどかった。日曜日の夜になると胃が痛くなって、月曜の朝は玄関で10分くらい立ち尽くしてから出勤してました。心当たりありませんか?
1年目で転職を考える人は意外と多い
「こんなこと考えてるの自分だけかも」と思ってるかもしれないけど、実際はそうでもないです。
厚生労働省の調査によると、医療福祉分野の新卒1年目離職率は約10%。つまり10人に1人は1年以内に辞めている計算になります。理学療法士に限定したデータではないものの、僕がリハ職の転職相談を受ける中でも、1年目〜2年目の相談は全体の約25%を占めています。
要するに、あなたは少数派じゃない。
むしろ「辛いけど、せめて3年は…」と我慢し続けて体を壊す人のほうが心配。僕の元同僚にも、そうやって無理を重ねてメンタルをやられた人がいました。
1年目で転職すべきケース・もう少し続けるべきケース
とはいえ、全員が今すぐ転職すべきかというと、そうでもない。ここでは判断基準を整理していきます。
今すぐ転職を検討すべき3つのパターン
以下に当てはまるなら、「1年目だから」を理由に我慢する必要はないです。
- パワハラ・モラハラが常態化している
人格否定、無視、過度な叱責が日常的にある場合。これは「指導」じゃなくてハラスメント。改善される見込みがないなら即転職で正解 - 残業代未払い・違法な労働環境
タイムカードを切らされてからのサービス残業、有給が取れない雰囲気…これは職場の問題であってあなたの問題じゃない - 心身に明らかな症状が出ている
不眠、食欲不振、日曜の夜の動悸。これらが2週間以上続いているなら、体が「限界」と言ってる。無視しないでほしい
熊本の療養型病院で働いていた元同僚の話。入職4ヶ月で、主任から毎日1時間以上の説教を受けていたそうです。「お前はPTに向いてない」「学校で何を学んできた」と。結果、彼女は6ヶ月で退職し、別の回復期病院に転職。今は主任として活躍しています。あのとき辞めていなかったら、PTを続けていなかったかもしれない。
あと半年は様子を見た方がいい状況
一方で、もう少しだけ頑張ってみてほしいケースもあります。
- 人間関係に馴染めていないだけ(特定の苦手な人がいるレベル)
- 業務内容が思っていたのと違う(でも違法ではない)
- 単純に仕事がうまくいかなくて自信をなくしている
- 「なんとなく辞めたい」で、具体的な理由が言語化できない
これらは、半年〜1年で状況が変わる可能性があります。僕の場合も、入職半年を過ぎたあたりから少しずつ仕事に慣れて、先輩との関係も改善されました。1年経つ頃には「辞めたい」という気持ちはほぼなくなっていた。
「逃げ」と「戦略的撤退」の違い
1年目で辞めることを「逃げ」と言う人がいます。でも、僕はそうは思わない。
逃げと戦略的撤退の違いはシンプルで、「次に向かう先があるかどうか」。
何も考えずに感情的に辞めるのは逃げかもしれない。でも、「この環境では成長できない」「ここにいたら自分が壊れる」と冷静に判断して、次のステップを考えた上で辞めるのは戦略的撤退です。
正直に言うと、僕も20代の頃は「給料安いけど、やりがいあるし…」って自分を納得させてました。でも結婚を考えたとき、それじゃダメだと気づいたんです。環境を変える決断ができたのは、それが「逃げ」じゃなくて「選択」だったから。
1年目PTが転職市場で不利になる点・意外と有利な点
1年目での転職、実際のところ市場ではどう見られるのか。ネガティブな話から先にしておきます。
正直なところ、経験不足は見られる
これは隠しても仕方ないので正直に言います。1年目での転職は、採用側から「またすぐ辞めるんじゃないか」と思われやすい。
特に急性期や回復期の大きな病院では、教育コストを考えると「最低3年は働いてほしい」というのが本音。実際、僕が以前いた病院の採用担当も「1年未満は書類で落とすことが多い」と言っていました。
スキル面でも、1年目だと評価・治療の引き出しが少ない。即戦力を求める職場では正直厳しい場面もあります。
でも若さと素直さは武器になる
…とはいえ、1年目ならではの強みもある。
- 前職の色に染まっていないから、教えやすい
- 体力がある、フットワークが軽い
- 給与面で高望みしない(と思われている)
- 長期的な戦力として育成できる
特に慢性的な人手不足の施設や、若いスタッフが欲しい職場では、1年目でも歓迎されることが多いです。「経験者より素直な新人がいい」という管理者は実際にいます。
熊本で見た「1年目転職組」のリアル
僕が熊本で働いていた頃、回復期病院で1年目転職者を積極的に採用していた施設がありました。
そこの主任に理由を聞いたら、「うちは教育体制があるから、変な癖がついてない人のほうがいい」と。実際、その病院では1年目転職組が3人いましたが、全員3年以上続いていました。
これが地方のリアル。都市部の大病院だけが就職先じゃない。地方の中小病院やクリニック、老健や訪問リハなど、1年目でも受け入れてくれる場所は確実にあります。
1年目でも採用される転職先の選び方
「どこでもいいから早く決めたい」という気持ちはわかる。でも、焦って選ぶと同じ失敗を繰り返します。
教育体制が整っている職場の見分け方
1年目で転職するなら、教育体制は最重要チェックポイントです。
「新人歓迎」と書いてある求人は多いですが、それが本当かどうかは別の話。見分けるためのポイントをいくつか挙げます。
まず、プリセプター制度があるかどうか。担当の先輩がついて、定期的に面談や振り返りをしてくれる体制があれば安心材料になります。見学時に「新人教育はどのように行っていますか?」と聞いてみてください。具体的な回答が返ってこない場合は要注意。
あとは勉強会の頻度と内容。月1回以上の症例検討会や、外部研修への補助があるか。これが整っている職場は、スタッフの成長に投資する姿勢がある。
見学時にスタッフの表情を見るのも大事。疲弊した顔をしていないか、挨拶を返してくれるか。空気感は意外と正直です。
避けた方がいい求人の特徴
逆に、こういう求人は警戒したほうがいいです。
「即日勤務可」「急募」を強調しすぎている。人がすぐ辞める環境の可能性がある。給与だけ異常に高い。何か裏があるかもしれない。残業代込みの金額だったり、歩合制だったり。
面接がやたら簡単に終わるのも危険サイン。「誰でもいいから採りたい」職場は、入ってから苦労します。まともな職場は、1年目でも「なぜうちを選んだのか」「将来どうなりたいか」をしっかり聞いてきます。
ちなみに、ハローワークより転職サイト経由の求人のほうが、掲載料がかかる分、本気で採用したい施設が多い傾向があります。
1年目転職を成功させるための具体的な進め方
転職を決意したら、あとは行動。ここでは実践的なステップを解説します。
退職のタイミングと伝え方
退職を伝えるタイミング、悩みますよね。
基本的には退職希望日の1〜2ヶ月前に直属の上司に伝えるのがマナー。就業規則に「1ヶ月前までに申し出ること」と書いてあることが多いので、確認しておきましょう。
伝え方は、まず口頭で「お話があるのですが、お時間いただけますか」とアポを取る。いきなり退職届を出すのはNG。理由を聞かれたら、正直に言いすぎなくて大丈夫。「一身上の都合」で法的には問題ないです。
引き止められることもあるけど、決意が固いなら流されないこと。「考え直してほしい」と言われても、2〜3日後に「やはり退職させてください」と伝えれば問題ありません。
転職エージェントを使うべき理由
1年目の転職こそ、転職エージェントを使うべきです。
なぜか。経験が浅い分、自分の市場価値がわからない。給与交渉の経験もない。面接で「なぜ1年で辞めたのか」を聞かれたときの答え方もわからない。これ、全部エージェントがサポートしてくれます。
僕がよく相談者におすすめしているのはPTOTSTワーカー。リハ職専門なので、PT・OT・STの転職事情に詳しい担当者が多い。1年目でも登録できるし、「まだ迷ってる段階」でも相談に乗ってくれます。
無料登録は3分で完了。電話やLINEで相談できるので、まずは話を聞いてもらうだけでも気持ちが整理されると思います。
面接で「1年目で辞めた理由」を聞かれたら
これ、絶対聞かれます。準備しておきましょう。
ポイントは前向きな理由に変換すること。
「人間関係が最悪だったので」→NG
「チームで連携しながら働ける環境を求めています」→OK
「残業が多すぎて…」→NG
「ワークライフバランスを整え、長く働ける環境を探しています」→OK
嘘をつけとは言わないけど、ネガティブな表現をそのまま言うと印象が悪い。「〇〇が嫌だった」を「△△を求めている」に変換する練習をしておくといいです。
あと、「次の職場では長く働きたい」という意思を伝えるのも大事。「御社では□□の経験を積みたいので、腰を据えて頑張りたいと思っています」のように。
1年目で転職した人のその後【追跡してわかったこと】
僕の周りで1年目転職をした人、何人か追跡してみました。成功した人も、微妙だった人もいます。正直に書きます。
Aさん(女性・当時23歳)は、急性期病院を8ヶ月で退職。理由はパワハラ。上司からの人格否定が毎日続いて、夜眠れなくなったそうです。転職先は訪問リハステーション。最初は「病院経験が少ないのに訪問なんてできるのか」と不安だったそうですが、ベテランOTの先輩が丁寧に教えてくれて、今は5年目。管理者候補として活躍しています。「あのとき辞めて本当によかった」と言っていました。
Bさん(男性・当時24歳)は、老健を10ヶ月で退職。理由は「なんとなく合わない」。転職先は別の老健。でも結局そこも1年で辞めて、今は介護職に転職。PTとしてのキャリアは終わりました。彼の場合、「何が嫌か」「どうなりたいか」が曖昧なまま転職したのが敗因だったと思います。
Cさん(男性・当時22歳)は、クリニックを6ヶ月で退職。理由は院長との方針の違い。「リハビリは電気だけでいい」と言われ、手技をやらせてもらえなかったそうです。転職先は回復期病院。「こんなに勉強できる環境があるんだ」と驚いたらしい。今は整形分野で専門性を深めて、認定理学療法士も取得。彼はむしろ「6ヶ月で見切りをつけて正解だった」と言っています。
Dさん(女性・当時25歳)は、回復期病院を11ヶ月で退職。理由は残業の多さ。転職先は企業のヘルスケア部門。臨床から離れたことを後悔していた時期もあったみたいですが、今は「違う形でリハの知識を活かせている」と前向きに話していました。
こうして見ると、「辞めた理由が明確で、次に何を求めるかがはっきりしていた人」は成功している傾向があります。逆に、漠然と辞めた人は同じパターンを繰り返しやすい。これが現実。
よくある質問
理学療法士1年目で転職は甘えですか?
環境要因(パワハラ、違法な労働条件、心身の不調)であれば、甘えではありません。むしろ自分を守るための正当な判断です。ただし、自分の努力不足やスキル不足を棚上げしていないかは振り返る必要があります。「何が嫌だったか」「次の職場で何を求めるか」を言語化できるかどうかが、甘えか戦略的判断かの分かれ目です。
1年目で辞めると履歴書に傷がつきますか?
1回目の短期離職であれば、理由次第でカバー可能です。面接で納得感のある説明ができれば、マイナス評価にならないケースも多いです。ただし、2回目・3回目の短期離職になると「続かない人」というレッテルが貼られやすくなります。だからこそ、次の転職先は慎重に選ぶべきです。
1年目でも転職エージェントは使えますか?
使えます。むしろ経験が浅いからこそ、エージェントを活用すべきです。自分では気づかないアピールポイントを教えてもらえたり、給与交渉を代行してもらえたりします。リハ職専門のエージェントなら、1年目転職の事例も豊富なので、具体的なアドバイスがもらえるはずです。
何月に転職するのがベストですか?
4月入職が最も求人数が多く、研修体制も整っていることが多いです。ただし、リハ職の求人は通年であるため、「4月まで待つ」ことに固執する必要はありません。心身が限界なら、時期を気にせず動くべきです。1月〜3月は年度末退職に伴う求人が増えるタイミングでもあります。
まとめ
1年目で転職を考えることは、おかしいことでも甘えでもない。大事なのは「なぜ辞めたいのか」「次に何を求めるのか」を明確にすること。それができていれば、1年目でも転職は成功する。まずは情報収集から始めてみてください。
この記事を書いた人
富永康太(元理学療法士)
臨床経験10年以上。現在はDOPグループ代表として、リハビリ職の転職・キャリア支援に携わる。「給料が安い」「転職が不安」——そんなPT・OT・STの悩みに、現場を知る人間として本音でお答えします。
