理学療法士の転職時期、ベストはいつなのか。正直に言います。僕は29歳で整形外科クリニックを辞めたとき、11月という中途半端なタイミングでした。「年度末まで待った方がいい」「4月入職が王道」なんて話、嫌というほど聞いてたんですよ。でも結局、待てなかった。いや、待たなかった。あのとき僕が出した結論と、その後に見えた現実を、ここに全部書きます。11年の臨床経験と、今の転職サイト運営者という立場から、キレイごと抜きで。ネット上の「1〜3月がベスト」って本当なのか、それとも誰かにとって都合のいい話なのか。あなたが今悩んでいるなら、たぶんこの記事が答えになるはずです。
僕が29歳で整形外科を辞めた時期と、その結末
ここからは僕自身の話をさせてください。転職時期に正解なんてない、と言い切れるようになったのは、この経験があったからです。
11月退職を選んだ理由
29歳のとき、僕は熊本の整形外科クリニックで働いていました。8年目。若手のころからずっと整形畑で、外来リハと運動器疾患ばっかり見てきた人間です。
辞めると決めたのは9月の終わりでした。理由はシンプルで、自分で事業をやりたかったから。訪問リハのパートをしながら起業の準備をする、というプランが頭の中にあって、年末には動き出したいと思ってた。
でもね、ここで問題が出てきます。「年度末まで待った方がいいんじゃないか」っていう周囲の声。上司は「せめて3月まで」と言うし、同僚は「ボーナスもらってからでよくない?」って。確かにそうだよなあ、と思う自分もいました。
ただ、11月を選んだ理由は別にありました。
訪問リハのパート先が「11月からなら枠がある」と言ってくれたんですよね。これが12月になると別の人が入る可能性があった。タイミングって、そういうものなんですよ。理想の時期を待っている間に、チャンスが消えることがある。
年度末まで待たなかった本当の理由
もう一つ、正直に書きます。
あと4ヶ月、あの職場にいる自信がなかった。メンタルがどうこうという話ではないです。でも、モチベーションがガクッと落ちてるのは自分でわかってた。患者さんへの申し訳なさもあったし、惰性で仕事を続けることへの嫌悪感も。
年度末まで待つ。聞こえはいい。でも、その5ヶ月間を中途半端な気持ちで過ごすくらいなら、さっさと辞めて次に進んだ方がいいんじゃないか。そう思ったんです。
結果どうなったか。
訪問リハのパートは週3日で、時給も悪くなかった。残りの4日で起業準備を進められた。もし3月まで待っていたら、パート先の枠は埋まっていたし、起業は半年遅れていたと思います。
僕が独立して株式会社DOPを立ち上げたとき、最初の半年は月収10万円台でした。臨床に戻ろうかと何度も思いましたね。でも、あのとき11月に動いたことは後悔してないんです。タイミングって、自分で決めるしかない。
「1〜3月がベスト」は本当か?データと現場感覚のズレ
さて、ここからはよく言われる「転職のベスト時期」について、現場感覚で検証してみます。
求人数が増える時期のカラクリ
転職サイトや転職エージェントは「1〜3月は求人が増える」とよく言います。これ自体は事実。年度末退職者の補充、新年度の体制強化、そういった理由で病院やクリニックが採用活動を活発化させる時期です。
ただし、ここで一つ見落とされがちな話があります。
求人が増える=応募者も増える。
当たり前の話なんですけど、意外とここを考えない人が多いんですよね。1〜3月は求人数がピークになる一方で、転職希望者もピーク。特に「4月入職」を狙う人たちがこの時期に集中します。競争率が上がるってことです。
僕の知り合いのSTが「求人30件応募して面接5件」って言ってて、STの転職市場の厳しさをリアルに感じました。でもエージェント経由だと全然違ったらしいです。つまり、時期だけでなく「どうやって応募するか」も成否を分けるってこと。
1〜3月がベストって言い切れるのは、求人数だけを見た場合の話。あなたが狙うポジションや地域によっては、むしろ時期をずらした方が有利な場合もある。
地方と都市部で全然違う話
これ、マジでもったいないと思うんですけど、転職の「ベスト時期」に関する情報って、ほとんど東京や大阪の話なんですよね。
僕は熊本にいます。地方です。
熊本で理学療法士の求人がどれくらい出るかというと、年間通じてそんなに多くないんです。都市部みたいに「1〜3月に求人が倍増」なんてことはない。出たときに動くしかない、というのが地方の現実。
だから地方の人が「1〜3月まで待とう」とか言ってると、ちょっと待てよと。その待っている間に、数少ない良い求人が他の人に取られてるかもしれないよ、と。
僕の友人のOTは、地方の老健に転職して、東京時代より生活の質がめちゃくちゃ上がったと言ってました。家賃が半分以下になったのが大きいそうです。この友人、転職したのは7月でした。年度途中。でも、その老健の求人が7月に出たから、7月に動いた。それだけの話。
都市部の常識が地方で通じるとは限らない。あなたが今いる地域の求人動向を見て、自分で判断するしかないんです。
時期より大事だった「辞め時」の見極め方
ぶっちゃけ、転職時期より大事なことがあります。自分の状態を見極めること。これ、後から振り返るとめちゃくちゃ重要でした。
後輩PTが4月入職にこだわって失敗した話
元同僚の後輩PT、Kくんの話をさせてください。
Kくんは急性期病院で5年目。職場の人間関係がしんどくて、転職を考えていました。僕に相談してきたのが夏ごろ。
「4月入職を目指して動こうと思います」
彼はそう言いました。まあ、悪くない判断だと思った。ただ、その時点で彼はかなり追い詰められていたんですよね。朝起きるのがつらい、日曜の夜になると吐き気がする、そういうレベル。
僕は「今すぐ辞めてもいいんじゃない?」と言いました。でもKくんは「4月入職の方がキャリア的にいいじゃないですか」と。
結果。
11月に体調を崩して休職。12月に退職。転職活動どころじゃなくなって、結局次の職場に入ったのは翌年の夏でした。
4月入職にこだわった結果、半年以上のロス。キャリア的にいいとか、そういう話じゃなくなった。自分の限界を超えてまで「ベストな時期」を待つ意味、あります?
自分の限界サインを無視した結果
Kくんの話を聞いて思ったことがあります。
僕も整形外科にいたとき、同じようなサインが出てた時期がありました。日曜の夜が憂うつ、月曜の朝が来るのが嫌、患者さんとの会話が義務的になってきた。でも「まだ大丈夫」って自分に言い聞かせてた。
大丈夫じゃないサインって、自分では見えないんですよね。周りから「最近疲れてない?」と言われて初めて気づく。
逆の話もあります。
別の知人PT、Sさんは7月に思い切って回復期病院を辞めました。周囲は「なんで今?」「せめて夏のボーナス後では」と言ってたらしい。でも彼女は「もう無理」と感じていた。
結果、7月に退職して、8月にゆっくり転職活動をして、9月に内定。10月から訪問リハの職場で働き始めた。「あのとき無理に続けていたら、多分もっとひどいことになってた」と彼女は言います。
ベストな時期って何だろう、と思うわけです。求人が多い時期?ボーナスをもらえる時期?いや、自分が壊れる前の時期。それが本当のベストタイミングじゃないですか。
経験年数別・おすすめ転職タイミングの本音
とはいえ、経験年数によって考え方は変わります。ここからは年数別に、僕なりの本音を書いてみます。
1〜3年目は正直いつでもいい理由
若手の転職、時期にこだわる意味は薄いです。
なぜか。1〜3年目のPTに求められるのは「ポテンシャル」であって「即戦力」ではないから。採用側もそれをわかっている。「いつ入ってきても育てますよ」というスタンスの職場が多いんです。
むしろ若手が気にすべきは時期より「職場選び」だと思います。3年目までに2回以上転職すると、さすがに履歴書の印象が悪くなる。だから「次の職場では3年以上働く」くらいの覚悟を持って選ぶ方が大事。
4月入職じゃなくても、10月入職でも、7月入職でも、採用側はそんなに気にしない。「この人、うちで育ちそうだな」と思ってもらえればOK。
若手のあなたへ。時期より、どこに行くかを真剣に考えてください。
5年目以降は戦略的に動くべき
5年目を超えると話が変わってきます。
このくらいになると、専門性やマネジメント経験が問われるようになる。役職についている人もいるでしょう。そうなると、転職のタイミングは少し戦略的に考えた方がいい。
ポイントは3つ。
まず、ボーナス。6月と12月にボーナスが出る職場が多いですよね。ボーナス支給後に退職届を出す。これは別に卑怯でも何でもないです。もらえるものはもらいましょう。
次に、昇進のタイミング。もしあなたが来年度に主任や科長になれそうなら、その役職を1年経験してから転職する方が履歴書の価値が上がります。「主任経験あり」と「主任候補だった」では、採用側の見方が全然違う。
最後に、専門資格の取得。認定理学療法士や専門理学療法士を目指しているなら、取得後に転職した方が年収交渉で有利。資格取得直前に辞めるのはもったいないです。
10年以上のベテランになると、管理職ポジションを狙うことも増えるでしょう。管理職の求人は常に出ているわけではないので、出たタイミングで動けるように、常に情報収集しておくことをおすすめします。
今すぐ動くべきか迷っている人へ
ここまで読んで、「で、結局いつがベストなの?」と思っているかもしれません。
正直に答えます。あなた次第です。
1〜3月に求人が増えるのは事実。でも競争率も上がる。地方では関係ない。4月入職が王道と言われるけど、それを待つ間に心身を壊したら意味がない。ボーナス後に辞めるのは賢い選択だけど、それより先に良い求人が出たらどうする?
結局、「ベストな時期」は一般論では決まらない。あなたの状況、あなたの地域、あなたの体調、あなたのキャリアプラン、それらを総合して「今だ」と思えるときが、あなたにとってのベストです。
ただし、一つだけ言えることがあります。
「動き始める」のは今日でいい。
転職活動を始める=即退職ではないです。今の職場で働きながら、どんな求人があるのか見てみる。自分の市場価値がどれくらいか確認してみる。それだけで心が軽くなることって、あるんですよね。
僕は今、PTOTSTワーカーという転職支援サービスをおすすめしています。理由はシンプルで、リハビリ職に特化しているから。一般的な転職サイトと違って、PT・OT・STの求人しかない。だから話が早い。
無料登録で相談できます。登録は3分くらいで終わります。「とりあえず求人を見てみたい」「自分に合う職場があるか知りたい」くらいの気持ちで使っている人も多いです。登録したら即転職しないといけないわけではないので、情報収集ツールとして使う手もあります。
ちょっと話がそれますが、転職エージェントって「押しが強い」イメージありませんか? 僕も最初はそう思ってました。でも実際使ってみると、そんなことなかった。こちらのペースに合わせてくれるところが多い。少なくともPTOTSTワーカーはそういうスタンスだと聞いています。
悩んでいる時間がもったいない、とまでは言いません。でも、悩みながらでも動くことはできる。情報がないと判断できないじゃないですか。だから、まずは情報を取りに行く。それが最初の一歩だと思います。
よくある質問
理学療法士の転職で避けるべき時期はありますか?
4〜5月は新人教育で現場が忙しく、採用担当者の対応も遅くなりがちです。僕の周りでも「4月に応募したけど返事が来たの5月末」という話を聞いたことがあります。ただ、求人が出ていれば応募自体は問題ないので、気にしすぎる必要はないですね。
ボーナスをもらってから辞めるのはあり?
全然あり。むしろ6月・12月のボーナス支給後に退職届を出す人、けっこう多いです。僕の元同僚も「ボーナス入金確認してから言いました」って普通に言ってました。ただし、支給条件は職場ごとに違うので就業規則を確認してください。
転職活動はどのくらい前から始めるべき?
一般的には3ヶ月前が目安と言われています。ただ、情報収集だけなら今日からでもOK。良い求人って、突然出て、すぐ埋まります。「来月から本気出す」と言っている間にチャンスを逃すこともあるので、早めに動いておいて損はないです。
4月入職に間に合わせるにはいつまでに動く?
遅くとも12月には転職エージェントに登録しておきたいところ。1月から面接を受け始めて、2月に内定、2月末に退職、3月は有休消化しつつ引き継ぎ、4月入職。これが理想的なスケジュールです。ギリギリになるとバタバタするので、余裕を持って動いてください。
まとめ
理学療法士の転職、ベストな時期は「あなたが動けると感じたとき」です。1〜3月がいいとか、4月入職が王道とか、そういう一般論に振り回されないでください。僕は11月に辞めて後悔していないし、7月に辞めて成功した人も知っています。大事なのは時期じゃなく、あなた自身の状態と、目の前のチャンスを逃さないこと。迷っているなら、まず情報を取りに行く。そこから始めてみてください。
この記事を書いた人
富永康太(元理学療法士)
臨床経験10年以上。現在はDOPグループ代表として、リハビリ職の転職・キャリア支援に携わる。「給料が安い」「転職が不安」——そんなPT・OT・STの悩みに、現場を知る人間として本音でお答えします。
