「転職は4月がベスト」は半分ウソ。その誤解が生まれた理由
「転職するなら4月入職がベスト」——この言葉、どこかで聞いたことありませんか?実際、僕も新人の頃は当たり前のように信じていました。でも、10年以上この業界にいて思うのは、これ、半分ウソです。
新卒採用の慣習が転職市場にも影響している
そもそも、なぜ「4月入職がベスト」と言われるようになったのか。理由は単純で、日本の新卒採用が4月スタートだからです。病院も施設も、新卒PTを4月に迎え入れる準備をしている。だから求人も年度末に増える。そんな構図がずっと続いてきました。
確かに、これは事実の一面ではあります。1〜3月は求人数が増えるタイミング。新年度に向けて体制を整えたい施設が動き出す時期だからです。
ただ、ここに落とし穴があるんですよね。
求人が増える=ライバルも増える。当たり前の話なんですけど、意外と見落としがちです。4月入職を目指すPTは多い。だから、人気の求人には応募が殺到する。結果として、条件の良いポジションは「経験豊富で即戦力」の人に取られてしまう。
僕の元同僚で、こんなケースがありました。彼女は「絶対4月入職」と決めて、1月から転職活動を始めた。でも、志望度の高い病院はすでに選考が進んでいて、間に合わなかった。結局、妥協して別の施設に決めたものの、半年で辞めることに。4月入職にこだわりすぎて、本当に自分に合う職場を見逃してしまったパターンです。
4月入職が合う人・合わない人の決定的な違い
じゃあ、4月入職が合う人ってどんな人か。僕の経験から言うと、こんな特徴があります。
- 新卒や第二新卒で、同期と一緒に研修を受けたい人
- 現職が年度末区切りで、引き継ぎがスムーズにできる人
- 急いでいない。じっくり複数の求人を比較したい人
一方で、4月入職にこだわらないほうがいい人もいる。
- 今すぐ環境を変えたい切実な理由がある人
- 管理職や専門職など、補充採用を狙う人
- 地方在住で、そもそも求人が年間通して少ない人
僕自身、新卒で入った整形外科クリニックでは手取り18万円でした。正直、「国家資格まで取ってこれか…」と何度も思いました。当時の僕は「とりあえず3年は我慢」と思っていたけど、今振り返ると、もっと早く情報収集を始めておけばよかった。時期にこだわるより、自分の状況に合ったタイミングを見極めることのほうがよっぽど大事だったんです。
データで見る理学療法士の求人数と採用のリアル
「感覚」だけで語っても説得力がないので、実際のデータを見てみましょう。転職サイトの求人動向や、僕が現場で見てきたリアルな採用状況をお伝えします。
月別の求人数推移(意外と10月〜11月も多い)
リハビリ職の転職サイトのデータを見ると、求人数が増えるのは大きく2つの時期です。
1つ目は、1月〜3月。これは先ほど説明した通り、4月入職に向けた採用活動が活発になる時期。
2つ目は、10月〜11月。こっちは意外と知られていないんですが、実は求人数がかなり増える時期なんです。
なぜか。理由は主に2つあります。
まず、上半期の採用計画を見直すタイミングだから。4月に採用した人が定着しなかった、思ったより忙しくなった、産休・育休に入るスタッフが出た——そんな事情で、下半期に追加採用を検討する施設が増えるんです。
もう一つは、ボーナス後の退職者の補充。6月〜7月にボーナスをもらって辞めた人の穴を埋めるために、10月〜11月に求人を出すケースも多い。
僕が転職活動をしていたとき、11月に出た求人で「おっ、これいいな」と思うものがいくつもありました。4月入職の求人は競争率が高いけど、秋の求人は比較的じっくり選べる印象があります。
地方と都市部で採用タイミングが違う理由
もう一つ、意外と語られないのが「地域差」です。
僕は熊本在住ですが、地方と都市部では採用のタイミングがかなり違います。
都市部(東京、大阪、名古屋など)は、求人数自体が多い。だから、時期を選ばなくても何かしらの求人がある。逆に言うと、良い求人はすぐに埋まる。
一方、地方は求人数が限られる。でも、だからこそ「欠員補充」のタイミングが重要になる。誰かが辞めたら、すぐに後任を探す。年度とか関係なく、必要なときに採用する施設が多いんです。
熊本の場合、200床以下の中小病院や、訪問リハビリの事業所がこのパターンに当てはまります。「4月入職じゃないと不利」なんてことはなくて、むしろタイミングが合えば、すんなり決まることも珍しくない。
地方で転職を考えているなら、「いつ求人が出るかわからない」前提で、早めに転職エージェントに登録しておくのがおすすめです。良い求人が出たらすぐ連絡をもらえる体制を作っておく。これ、地味だけど効果的ですよ。
転職時期より「辞め時」を見極める3つのサイン
「いつ転職するか」を考える前に、もっと大事なことがあります。それは「今の職場を辞めるべきタイミングかどうか」を見極めること。転職時期を気にするあまり、辞め時を逃している人、けっこう多いんですよね。
成長が止まったと感じたとき
「最近、新しいことを学んでないな」——そう感じたら、一つのサインかもしれません。
理学療法士って、経験を積むほど成長できる仕事のはずです。でも、同じ疾患ばかり、同じ流れの業務ばかりを繰り返していると、成長曲線が止まる。
僕が最初に辞めたいと思ったのも、このタイミングでした。回復期で3年働いて、ある程度のことはできるようになった。でも、「このままあと30年、同じことを繰り返すのか」と思ったとき、正直ゾッとしたんです。
成長が止まったら、選択肢は2つ。今の職場で新しい役割や領域に挑戦するか、環境を変えるか。前者が難しいなら、後者を真剣に考えていい。
人間関係の修復が不可能なとき
これ、かなり深刻なサインです。
「上司と合わない」「同僚と険悪」——よくある悩みですよね。でも、関係修復の努力をしても改善しない場合、その環境にいる意味はあるのか。
僕が見てきた中で、人間関係を理由に辞めた人は多いです。「我慢すればいつか良くなる」と思って何年も耐えた結果、メンタルをやられたケースも見てきました。
ただ、注意点が一つ。どこに行っても人間関係の問題は起きうる。だから「この人が嫌だから辞める」ではなく、「この環境では自分らしく働けないから辞める」という判断基準を持っておくことが大事です。
給与交渉が何年も通らないとき
これ、心当たりありませんか?
「来年の昇給で考えます」と言われ続けて3年。「業績が厳しいから今年は見送り」と言われ続けて5年。そんな職場、残念ながら存在します。
給与が上がらないのは、あなたの能力の問題じゃないことが多い。その施設の給与体系や経営状況の問題です。
僕は回復期時代、昇給交渉をしたことがあります。結果は「規定があるから難しい」の一言。年功序列で、頑張っても頑張らなくても給与は同じ。それを知ったとき、「ここにいる意味あるかな」と真剣に考え始めました。
転職市場では、経験5年のPTが年収50万円アップで転職するケースも珍しくありません。今の職場で給与が上がらないなら、市場価値を確かめる意味でも、一度外を見てみる価値はあると思います。
経験年数別・おすすめ転職タイミングの考え方
「何年目で転職すべきですか?」——これ、よく聞かれる質問です。でも、正直に言うと「何年目で転職すべき」という正解はありません。大事なのは「その年数で何を考えるべきか」という視点です。
1〜3年目:焦らなくていい。でも情報収集は今から
新人〜3年目は、正直、転職を急ぐ必要はないと思っています。
理由はシンプル。まだ基礎的なスキルが固まっていない可能性が高いから。1〜2年で転職すると、「すぐ辞める人」と見られるリスクもある。
ただし、「今は転職しない」と「何も考えない」はイコールじゃない。
この時期にやっておくべきことがあります。
- 自分がどんな分野に興味があるか、明確にする
- 転職サイトに登録して、求人の相場を知る
- 3年後、5年後にどうなりたいか、ぼんやりでも考えておく
僕が新人の頃、これをやっていなかった。だから、3年経って「このままでいいのか」と悩んだとき、何から始めればいいかわからなかった。情報収集だけなら、今すぐ始めても早すぎることはないですよ。
4〜7年目:最も選択肢が広がる時期
4〜7年目は、転職市場で最も価値が高い時期です。
基礎的なスキルはある。でも、まだ若い。新しい環境にも適応しやすい。だから、採用側も「欲しい」と思う。
この時期の転職は、年収アップの可能性が最も高い。実際、僕が知っているPTの中で、この時期に転職して年収70万円アップした人がいます。回復期から急性期に移って、単価の高い病院に転職したケースでした。
一方で、この時期に転職しないで、今の職場でキャリアを積む選択もあり。主任や係長といった管理職への道が開けるのも、この時期からです。
ポイントは、「なんとなく」で決めないこと。
5年目で転職するのか、今の職場で管理職を目指すのか。どちらを選ぶにしても、「なぜその選択をするのか」を自分の言葉で説明できるようにしておくことが大事です。
8年目以降:管理職か専門特化か、キャリアの分岐点
8年目以降になると、転職の選択肢は少し変わってきます。
大きく分けると、2つの方向性がある。
一つは、管理職路線。リハビリ科の主任、課長、部長を目指す。今の職場で昇進するか、管理職ポジションで転職するか。
もう一つは、専門特化路線。認定理学療法士を取る、特定の疾患領域のスペシャリストになる、訪問リハビリや自費リハビリに特化する、など。
どちらを選ぶかで、転職先も変わります。管理職を目指すなら、マネジメント経験を積める職場。専門特化を目指すなら、その分野の症例が多い職場。
この時期に転職する場合、注意点が一つ。「経験年数」だけでは評価されにくくなります。「8年間で何を成し遂げたか」「どんな専門性があるか」を具体的にアピールできないと、思ったほど条件が上がらないことも。
だからこそ、8年目以降の転職は、自分のキャリアの棚卸しをしっかりやってから動くことをおすすめします。
転職活動の開始から内定まで、実際どれくらいかかる?
「転職したい」と思ってから、実際に新しい職場で働き始めるまで、どれくらいの期間がかかるのか。これ、意外と知らない人が多いんじゃないでしょうか。
平均は2〜3ヶ月。ただし準備期間は別
転職サイトへの登録から内定獲得まで、平均的には2〜3ヶ月と言われています。
ただし、これは「本格的に動き始めてから」の話。その前の準備期間を含めると、もっと長くなることが多い。
準備期間に何をするか。
- 自分の希望条件を整理する(年収、勤務地、領域、働き方など)
- 履歴書・職務経歴書を作成する
- 転職サイトやエージェントに登録する
- 求人をリサーチして、志望先を絞り込む
この準備に1〜2ヶ月かかる人も珍しくない。だから、「4月に入職したい」と思うなら、遅くとも前年の11月〜12月には動き始める必要があります。
僕が転職したときは、準備に1ヶ月半、活動開始から内定まで2ヶ月、現職の退職手続きに1ヶ月。トータルで4ヶ月半くらいかかりました。
在職中に動くか、辞めてから動くかの損得
これ、よく悩むポイントですよね。結論から言うと、基本的には在職中に転職活動をすることをおすすめします。
理由は3つ。
1つ目、収入が途切れない。当たり前ですが、これが一番大きい。転職活動が長引いても、生活に困らない。
2つ目、交渉で有利になる。在職中だと、「すぐに来てほしいから条件を上げます」と言われることがある。一方、無職だと「早く決めたいでしょ?」と足元を見られることも。
3つ目、焦らず選べる。収入がある状態なら、「ここじゃないかな」と思ったら断る余裕がある。
ただ、例外もあります。今の職場が激務すぎて、転職活動の時間が全く取れない場合。メンタルを病んでいて、一刻も早く離れたい場合。そういうときは、辞めてから動くのもあり。
ちなみに、ボーナスの話。「ボーナスをもらってから辞めるのは気まずい」と思う人がいますが、全然そんなことないですよ。むしろ、もらえるものはもらってから辞めるのが普通です。ボーナス支給日を確認して、支給後1〜2週間で退職を伝える。これ、転職市場では一般的なスケジュールです。
あと、有給消化も忘れずに。有給が残っているなら、退職前にしっかり使い切る。これは労働者の権利です。転職先への入職日は、有給消化期間を考慮して調整しましょう。
時期で悩むより「相談できる相手」を先に見つけよう
ここまで読んで、「結局、いつ転職すればいいのか、まだわからない」と思った人もいるかもしれません。正直、それで普通です。
一人で考えても正解は出ない理由
転職のベストタイミングは、人によって違う。家庭の状況、今の職場の状況、キャリアの方向性、住んでいる地域——いろんな要素が絡み合うから、シンプルな答えは出ないんです。
しかも、自分のことって、自分では意外とわからない。
「自分の市場価値がどれくらいなのか」「今の年収が適正なのか」「どんな求人があるのか」——こういうことは、外部の情報がないと判断できません。
僕も、一人で悩んでいた時期がありました。転職したいけど、何から始めていいかわからない。今の職場を辞めるべきなのか、まだ早いのか。堂々巡りで、結局何も進まない。
状況が変わったのは、転職エージェントに相談したときでした。
転職エージェントを使う本当のメリット
転職エージェントって、「転職を急かされそう」「しつこく連絡が来そう」というイメージがあるかもしれません。僕も最初はそう思っていました。
でも、実際に使ってみて、印象が変わりました。
僕が相談したとき、まだ「転職するかどうか迷っている」段階でした。でも、エージェントは「無理に転職しなくていいですよ」と言ってくれた。そのうえで、今の年収が市場と比べてどうなのか、希望に合う求人がどれくらいあるのか、客観的な情報を教えてくれた。
結果として、「今すぐ転職しなくてもいいけど、もう少し情報収集を続けよう」という判断ができました。あのとき、一人で悩み続けていたら、もっと時間を無駄にしていたと思います。
リハビリ職専門の転職エージェントなら、PTOTSTワーカーが使いやすいです。PT・OT・STに特化していて、担当者もリハビリ業界に詳しい。「まだ転職を決めていない」段階でも相談できるので、情報収集から始めたい人にはちょうどいいと思います。
登録は無料で、3分もあれば終わります。登録したからといって、転職を強制されることはありません。「今の自分の市場価値を知りたい」「どんな求人があるか見てみたい」——そんな軽い気持ちで使ってみてください。
転職時期で悩むより、まず相談できる相手を見つける。それが、最初の一歩になるはずです。
よくある質問
理学療法士の転職で避けるべき時期はある?
年度末直前の2〜3月は、引き継ぎが難しく、現職に迷惑がかかりやすい時期です。ただし、この時期は求人が多いのも事実。避けるべきというよりは、早めに動いて4月以降の入職を狙うのがベターです。退職を伝えるタイミングを逆算して、余裕を持ったスケジュールを立てましょう。
ボーナスをもらってから辞めるのはあり?
むしろ推奨します。ボーナス支給日を確認して、支給後1〜2週間で退職を伝えるのが一般的なスケジュール。転職先にも「ボーナス後に退職したいので、入職は◯月以降でお願いします」と正直に伝えてOKです。採用側もこうしたスケジュールには慣れています。
転職活動は在職中と退職後どちらがいい?
基本は在職中がおすすめです。収入が途切れない安心感があり、交渉でも有利に働くことが多い。焦らず求人を選べるのも大きなメリットです。ただし、激務で転職活動の時間が取れない、メンタルの限界で一刻も早く離れたい、といった場合は退職後もあり。状況に応じて判断してください。
転職エージェントに登録する時期はいつがベスト?
転職を決める前、情報収集段階でOKです。登録しても転職を強制されることはなく、「今の市場価値を知りたい」「どんな求人があるか見たい」という理由でも問題ありません。むしろ早めに登録しておくことで、良い求人が出たときにすぐ連絡をもらえる体制が作れます。
まとめ
転職の「ベストな時期」は、4月でも10月でもない。あなた自身の状況に合ったタイミングが、あなたにとってのベストです。まずは情報収集から始めてみてください。行動した人だけが、納得できる転職を実現できます。
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この記事を書いた人
富永康太(元理学療法士)
臨床経験10年以上。現在はDOPグループ代表として、リハビリ職の転職・キャリア支援に携わる。「給料が安い」「転職が不安」——そんなPT・OT・STの悩みに、現場を知る人間として本音でお答えします。
