【結論】訪問と病院、向いてる人は明確に分かれる
「訪問リハビリと病院、どっちがいいですか?」この質問、転職相談で本当によく聞かれます。正直に言うと、どっちが良いかという問いには意味がない。大事なのは「自分に合うのはどっちか」という視点です。
10年間この業界にいて、両方を経験した同僚や後輩をたくさん見てきました。その中で、向いている人の特徴ははっきり分かれることに気づいたんです。
訪問リハビリに向いている人:
- 一人で判断を下すことにストレスを感じない
- 利用者さんの「生活」を見たいという思いが強い
- 自分でスケジュールを管理できる
- 人間関係のストレスから解放されたい
- 車の運転が苦にならない
病院リハビリに向いている人:
- チームで働くことに安心感を覚える
- 急性期・回復期で専門性を高めたい
- 困ったときにすぐ相談できる環境がほしい
- 安定した給与体系を重視する
- 症例数を積みたい
心当たりはありませんか?
どちらを選んでも正解だし、どちらを選んでも後悔する可能性はある。だからこそ、自分が何を優先するのか、この記事を読みながら整理してみてください。
年収・給料の現実を比較してみた
転職を考えるとき、やっぱり気になるのは年収ですよね。「訪問は病院より稼げる」という話、一度は聞いたことがあるはず。でも、実態はそこまで単純じゃないんです。
訪問リハビリの年収相場と給与体系
訪問リハビリの年収相場は400〜550万円程度。病院勤務より50〜100万円ほど高いケースが多い。ただし、この数字にはカラクリがあります。
訪問リハビリの給与体系は大きく分けて2種類。固定給制とインセンティブ制(訪問件数に応じた歩合)です。インセンティブ制だと1件あたり3,000〜4,000円が上乗せされる事業所もある。月80件訪問すれば、それだけで24〜32万円。…とはいえ、これは天候や利用者さんの体調でキャンセルが出ないことが前提の話。
僕の知人で訪問に転職したSTは、初年度で年収480万まで上がりました。でも翌年、担当利用者の入院が重なって件数が減り、年収が420万まで下がった。こういう波があるのが訪問の現実です。
病院リハビリの年収相場と昇給事情
病院リハビリの年収は350〜450万円が相場。10年働いても500万円に届かない病院は珍しくない。毎年の昇給が3,000〜5,000円程度という職場、多いですよね。
ただ、病院には安定がある。ボーナスは景気に左右されにくいし(一般企業と違って医療報酬で回っているので)、件数が減っても給料は変わらない。年収400万(手取りだと約300万)でも、毎月確実にもらえる安心感は大きい。
役職手当で年収が上がるケースもあるけど、主任で月2〜3万円、科長クラスで5万円程度。管理職になると残業代がつかなくなる職場もあるので、実質的な時給はほとんど変わらなかったりする。
地方では意外と差が縮まる話
ここからが地方在住の僕が伝えたいこと。「訪問=高収入」は都市部の話なんです。
熊本で働いていた頃、訪問リハビリの求人を探してみたことがあります。結果、病院求人の半分以下しかなかった。しかも年収も400万円台前半がほとんど。東京や大阪みたいに500万円以上の求人はまず見つからない。
地方は訪問エリアが広く、移動だけで疲弊するケースも多い。1日5〜6件回るのに片道30分以上かかる利用者宅が複数あると、実働時間は都市部より長くなる。それで年収が同じって、時給換算したらむしろ下がってませんか?
県外から熊本に転職してきたPTが「都会より患者さんとの距離が近くてやりがいがある」と話していたのが印象的でした。彼は年収よりもやりがいを優先して地方を選んだわけですが、全員がそうできるわけじゃない。地方で訪問を選ぶなら、年収以外の動機が必要だと思います。
働き方・1日のスケジュールの違い
年収の次に気になるのは働き方。「訪問は自由」「病院は残業が多い」なんてイメージがありますが、実態はもう少し複雑です。
訪問リハビリの1日(自由度と孤独のリアル)
訪問リハビリの1日を見てみましょう。
8:30 出勤、朝礼
9:00〜12:00 午前の訪問3〜4件
12:00〜13:00 昼休憩(自宅に戻る人もいれば、車内で済ませる人も)
13:00〜17:00 午後の訪問3〜4件
17:00〜18:00 事業所に戻って記録・申し送り
一見するとシンプル。でも、ここに載っていない変動要素がたくさんある。
まず移動時間。都市部なら1件あたり15〜20分で済むけど、地方だと30分以上かかることもザラ。雨の日はさらに遅れる。夏場の猛暑、冬場の雪道。天候に左右される働き方は、想像以上にストレスになります。
利用者宅の環境も千差万別。エアコンがない家、ペットの匂いがきつい家、階段だらけの古い住宅。「リハビリの前に環境整備からやないと…」と思う場面、訪問経験者なら分かりますよね。
一方で、休憩の取り方は自由。車内で好きな音楽を聴きながらコンビニ弁当を食べる時間は、病院のスタッフルームより気楽という声もあります。ただ、一人でいる時間が長いことに孤独を感じる人もいる。相談したいときにすぐ聞ける人がいない不安は、慣れるまで結構しんどいかもしれません。
病院リハビリの1日(カンファ・書類・残業)
病院リハビリの1日も見てみます。
8:30 出勤、朝礼、カンファレンス
9:00〜12:00 午前のリハビリ(6〜7単位)
12:00〜13:00 昼休憩
13:00〜17:00 午後のリハビリ(8〜9単位)、カンファ、IC同席
17:00〜18:30 記録、書類作成、症例検討会の準備
18単位取得がノルマの職場が多いですよね。1日8時間のうち、リハビリ提供だけで6時間。残りの2時間で移動、記録、カンファ、書類…。定時で帰れる日なんてほとんどなかった記憶があります。
まあ、病院によって文化は違う。18時にはほぼ全員帰る職場もあれば、20時まで残るのが当たり前の職場もある。症例検討会やら委員会やらで時間を取られる病院だと、自分の時間を確保するのは難しい。
ストレスの種類が違うんですよね。訪問は「一人で判断するプレッシャー」「移動と天候」がメイン。病院は「人間関係」「ノルマ」「残業」がメイン。どっちが楽かじゃなくて、どっちのストレスなら耐えられるか。そう考えた方がいいと思います。
スキルアップ・キャリアの伸び方を考える
「病院で経験を積んでから訪問に行くべき」というアドバイス、よく聞きますよね。僕も基本的にはそう思う。でも、最近は少し考えが変わってきました。
病院で得られる経験と限界
病院、特に急性期や回復期で働くメリットは大きい。
- 症例数が圧倒的に多い
- 多職種連携が学べる
- 急変時の対応力がつく
- 先輩やドクターにすぐ相談できる
- 研修・勉強会の機会が豊富
特に新卒〜3年目くらいまでは、病院の環境が成長を加速させます。「とりあえず5年は病院で」という意見も理解できる。
ただ、病院勤務にも限界はあって。
入院期間が短縮化して、患者さんの「その後」を見届けられない。回復期で歩けるようになった患者さんが、自宅に帰ってからどうなったか分からない。これ、何年働いても消えないモヤモヤでした。
あと、10年も病院にいると成長曲線が緩やかになる。同じ疾患、同じ介入の繰り返し。刺激がなくなってくるんですよね。
訪問で伸びるスキルと見落とされがちな成長
訪問リハビリでしか得られないスキルがあります。
- 生活を見る視点(ベッドの高さ、手すりの位置、家族の介護力)
- その場で判断する力
- 家族対応・コミュニケーション能力
- ケアマネ・他事業所との連携
- 限られた道具・環境で工夫する力
「訪問は病院より臨床スキルが落ちる」という人もいるけど、僕はそう思わない。むしろ、病院では見えなかった視点が手に入る。
3年目で訪問に転職した後輩のOTがいました。「早すぎるんじゃない?」と正直思った。でも、2年後に会ったとき、彼の成長に驚きました。利用者さんの生活を俯瞰で見る力、ケアマネとの調整力、家族との信頼関係の築き方。病院では身につきにくいスキルが、短期間で磨かれていたんです。
キャリアは一方通行じゃない。訪問から病院に戻る人もいるし、訪問で管理者になってからクリニック開業する人もいる。「正解のルート」なんて存在しないと、最近は思うようになりました。
迷ったときの判断基準と転職の進め方
ここまで読んでも「結局どっちがいいか分からない」という人もいるはず。そんなときは、具体的なチェックリストで自己診断してみてください。
自己診断チェックリスト
以下の質問に「はい」「いいえ」で答えてみてください。
- 一人で黙々と仕事をするのが好きだ
- 患者さんが退院した後の生活が気になる
- 移動時間は苦にならない
- 困ったとき、自分で調べて解決できる
- 人間関係のストレスを減らしたい
「はい」が3つ以上なら訪問向き。2つ以下なら病院向きの可能性が高い。もちろんこれは目安。最終的には自分の直感を信じてほしい。
見学・情報収集で確認すべきポイント
転職前の見学・面接で確認しておきたいこと。
訪問リハビリの場合:
- 1日の訪問件数の目安(6件以上は結構ハード)
- 訪問エリアの範囲と移動手段
- 緊急時のサポート体制
- インセンティブの有無と計算方法
- 同行研修の期間と内容
病院の場合:
- 1日の取得単位数のノルマ
- 残業の実態(定時で帰れる割合)
- 有休消化率
- 勉強会や委員会の頻度
- 昇給・賞与の実績
面接では「残業はありますか?」と聞いても本音は出てこない。「先輩方は何時頃に帰られることが多いですか?」と聞く方がリアルな回答を引き出せます。
転職エージェントを使うメリット
「自分で求人を探して、見学して、条件交渉して…」これ、働きながらやるのは正直しんどい。特に訪問リハビリは求人票だけでは分からない情報が多い。事業所の雰囲気、利用者層、スタッフの定着率。こういう内部情報は、エージェント経由の方が手に入りやすいんです。
僕がよく聞かれるのは「どのエージェントがいいですか?」という質問。リハビリ職に特化しているという点では、レバウェルリハビリがおすすめ。PT・OT・ST専門のアドバイザーがいるので、話が早い。
非公開求人も多く持っているので、ネットで見つからない高待遇の求人に出会えることもある。年収交渉も代行してくれるので、「自分で言いづらい…」という人には特に向いています。登録は無料で、3分もあれば完了。とりあえず相談だけしてみて、良い求人があれば本格的に動く。そのくらいの温度感でいいと思います。
まあ、エージェントを使わなくても転職はできます。ただ、情報収集にかける時間を短縮したい人、条件交渉が苦手な人は、プロに頼った方が結果的に良い転職ができる可能性は高い。
よくある質問
訪問リハビリ未経験でも転職できますか?
3年以上の臨床経験があれば、未経験でも採用されるケースは多いです。むしろ訪問業界は人手不足なので、経験者を求めつつも未経験を受け入れている事業所がほとんど。ただ、研修制度の充実度は事業所によって差が大きい。同行訪問が2〜3日で終わるところもあれば、1ヶ月かけてくれるところもある。転職前に「未経験者へのフォロー体制」は必ず確認してください。
訪問リハビリはきついって本当?
「きつい」の中身によります。移動の負担、一人で判断するプレッシャー、利用者宅の環境ストレス。これらは確かにある。一方で、病院特有の人間関係のストレスは減る人が多い。上司の顔色を伺いながら働く必要がないし、カンファで詰められることもない。向き不向きの問題なので、「きつい」かどうかは人によるとしか言えません。
病院から訪問に転職して後悔する人はいる?
います。特に急性期で働いていた人に多い傾向。「毎日刺激があった環境から、同じ利用者さんを週1で見る生活になって物足りない」という声は聞きます。逆に「やっと自分のペースで働ける」と感じる人もいる。自分が何にやりがいを感じるか、転職前に整理しておくことが大事です。
訪問リハビリの将来性は?
高齢化に伴い需要は増加傾向。在宅医療の推進もあって、訪問リハビリの重要性は今後も高まると予想されます。ただ、報酬改定の影響を受けやすいのがネック。診療報酬・介護報酬が下がれば、事業所の経営も厳しくなる。複数事業所を持つ法人や、母体がしっかりしている事業所を選ぶと安心です。
どっちが休みを取りやすい?
一概には言えません。訪問は利用者さんの都合で調整しやすい面がある反面、担当制で「自分が休むと誰も代わりがいない」状態になりやすい。病院はシフト制で平等に休みが割り振られるけど、急な休みは取りにくい。どちらを選んでも、有休消化率は職場ごとに確認した方がいいです。
まとめ
訪問と病院、どっちが良いかに正解はありません。大事なのは、自分が何を優先するかを明確にすること。年収、働き方、成長環境、人間関係。優先順位は人それぞれ。この記事が、あなたの判断材料になれば嬉しいです。迷っているなら、まずは求人を見ることから始めてみてください。
あわせて読みたい
この記事を書いた人
富永康太(元理学療法士)
臨床経験10年以上。現在はDOPグループ代表として、リハビリ職の転職・キャリア支援に携わる。「給料が安い」「転職が不安」——そんなPT・OT・STの悩みに、現場を知る人間として本音でお答えします。
